五洋建設らがカルシア落下混合船を建造、カルシア改質土も落下混合を効率的に3回可能:導入事例
五洋建設と関門港湾建設はカルシア落下混合船「オーシャン3号」を建造した。今後、両社は、カルシア落下混合船「オーシャン3号」を活用し、カルシア改質土による埋め立て、深掘跡の埋め戻し、浅場(あさば)と干潟(ひがた)の造成などを効率的に進めていく。
五洋建設はこのほど、関門港湾建設と共同で、浚渫(しゅんせつ)土とカルシア改質材(製鋼スラグの成分・粒度を調整した材料)を混合し、カルシア改質土を効率よく大量に製造できるカルシア落下混合船※1「オーシャン3号」を建造し、その仕様を2021年6月22日に発表した。
※1 カルシア落下混合船:リクレーマ船(ベルトコンベヤーにより浚渫土砂などを埋立地へ排出する作業船)に、カルシア改質材の供給ホッパ、供給コンベヤーおよび落下混合用コンベヤーを搭載したもの
1日当たり2500〜4000立方メートルのカルシア改質土を製造可能
浚渫土とカルシア改質材の混合には、バックホウ混合方式、管中混合方式、落下混合方式などが存在する。このうち、主にリクレーマ船で採用される落下混合方式では、物性の異なる浚渫土を用いた数多くの試験により、2メートル以上の高さから3回落下させることで、均質に混合され、高品質なカルシア改質土を製造できることが判明している。
しかし、リクレーマ船を使用する場合には、カルシア改質材の供給ホッパや供給コンベヤーを搭載する必要がある。さらに、落下回数はベルコン乗継時と排出時の3回となるため、陸上で積み替え、運搬後のダンプアップ時に3回目を確保するなど、船外での落下作業を追加することが求められた。
上記の課題を解消するために、五洋建設と関門港湾建設が開発したオーシャン3号は、コンベヤーの乗継時に2回、ブームコンベヤーからの落下時に1回、合計3回の落下混合を可能としている。加えて、1日当たり2500〜4000立方メートルのカルシア改質土を製造および排出する他、トレミー管を用いた直接水中排出により、浅場・干潟の造成や深掘の埋め戻しに応じる。
また、これまで抜き取り検査でしか把握できなかったカルシア改質材の混合率やカルシア改質土の密度、含水比をリアルタイムでモニタリングできる品質管理システムを備えているため、適正な配合で品質の良好なカルシア改質土を製造する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 五洋建設がシンガポールの大手設備工事会社を子会社化
五洋建設はこのほど、シンガポールの大手設備工事会社であるUG M&Eを子会社化し、シンガポールでの建築事業の基盤を強固にした。 - フィンランドのICT施工事例、建設機械のオペレーターがBIMデータを活用
国土交通省は2019年7月17日、都内で「i-Construction推進コンソーシアム(第5回 企画委員会)」を開催し、現場でのICT活用の導入状況やICT施工の海外事例としてフィンランドの鉄道工事などを説明した。 - 東亜建設工業がシンガポール・テコン島地区の埋め立て工事などを受注
東亜建設工業は、2019年のトゥアス地区における大規模コンテナバースの建設工事に引き続き、2020年にシンガポール・テコン島地区の埋め立て工事を受注した。2000年から2015年までに、テコン島周辺で大規模な埋め立て工事を施工した際には、プレミックス工法や深層混合処理工法(デコム工法)、サンドコンパクション工法を適用することで、原設計では多量に必要としていた海砂の量を大幅に減らし、高い評価を受けた。 - 1都8県のICT土工・舗装工・浚渫工の2018年度実績、茨城県がトップの理由とは?
国土交通省は、ICT活用工種の拡充や関連基準の整備を進めるとともに、ICT土工の現状を積極的に業界関係者へ発信している。