高さ57mの煙突を超大型解体重機で地上から解体、実質4日で完了 鴻池組:工法
鴻池組、中筋組、ヒロシは、高さ57.5メートルの煙突解体工事に、最大作業高さ65メートルの超大型解体重機を導入し、地上からの直接解体を行った。従来工法では2〜3週間の工期を見込んでいたが、実質4日間で解体を完了した。
鴻池組は2024年9月2日、中筋組、ヒロシと共同で、島根県出雲市の旧大型焼却施設「出雲エネルギーセンター」の煙突(高さ57.5メートル)解体工事に、最大作業高さ65メートルの超大型解体重機を導入し、地上からの直接解体を行ったと発表した。従来工法では2〜3週間の工期を見込んでいたが、実質4日間で解体を完了。安全性と作業効率を向上させ、少人数での大規模解体作業ができることを確認した。
一般的な煙突解体工事では、ワイヤソーや大型カッターなどで構造体を分割して大型クレーンで吊り下ろす工法が適用される。今回の出雲エネルギーセンターの煙突解体工事は当初、煙突周囲に外部足場を設置して、大型クレーンで圧砕機アタッチメントを揚重し、油圧操作により煙突外壁を圧砕する工法を計画していた。
しかし、猛暑の中で作業員が高層部への階段昇降を繰り返すことによる疲労の蓄積や、がれきの飛散による接触などの危険、これに伴う工期の長期化などが懸念された。こうした問題点を改善するため、今回、オオノ開發が所有するコベルコ建機の超大型解体重機「SK3500D」を現場に導入し、地上から直接破砕解体を行う工法を採用した。
施工にあたっては、破砕がら飛散防止などの安全対策と市街地からの景観対策を目的に、垂直養生ネットをL型とI型の2つに分割し、地上で組み立てた後に2台のクレーンで吊り上げた。作業中は常に風速を計測し、設置したデジタル表示板で確認しながら、風速秒速3メートルを超える場合は作業を中断。作業に従事する作業員は1日当たり実質3人で、少人数での大規模解体作業が可能になった。
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