公共施設整備業務をデジタル活用で効率化、つくば市が現場DXサービス「KANNA」導入:製品動向
アルダグラムと茨城県つくば市は、現場DXサービス「KANNA」を活用し、公共施設整備の業務効率化を図る実証実験を行う。公共施設整備課の職員と公共施設施工に関わる関係者にKANNAを使用してもらうことで業務負荷や工数の削減を図る。
現場DXサービス「KANNA(カンナ)」を展開するアルダグラムは2024年9月2日から、茨城県つくば市と共同で、公共施設整備の業務効率を改善するための実証実験を開始する。公共施設整備課でKANNAを導入し、職員と公共施設施工に関わる関係者に使用してもらうことで業務負荷や工数の削減を図る。
KANNAの導入により、スピーティーな対応と無駄のないコミュニケーションを実現し、人手不足に対応できる体制づくりと業務フローの確立を目指す。
つくば市は総務省の人口動態調査(2023年1月1日時点)で、人口増加率が2.3%と全国1位になった。子どもの数も増加しており、2024年4月には新たに小学校と中学校を開校している。一方で、増加する住民に対応できるだけの職員の数が十分ではないとして、市役所内ではさまざまなDXツールにより業務の効率化を図っている。
つくば市公共施設整備課は、市内の学校や交流センターなどの公共施設の修繕/新築工事の発注支援、工事のスケジュール管理、品質管理を行う監督業務などを担う。年間で設計業務が約80件、工事は約100件あり、12人で業務に当たっている。人手不足から各自の業務が逼迫し、属人化しつつあることなどが課題となっていた。
今回の実証実験では、KANNAの工程表を活用して施工に関するタスク管理や進捗状況を可視化する。工程表のテンプレートで業務をマニュアル化し、施工のタスクを1から作成する手間を省く。また、施設ごとの修繕や建設に必要な概要や図面、現場写真をKANNAに格納して共有することで、これまで協力会社を含め約20人近くの関係者が現地に集まり開催していた定例会議の時間や回数の削減を図る。移動の手間や会議の事前準備時間も削減できるため、職員は住民のためにより必要な業務に集中できるようになる。
さらに、定期的な人事異動がある行政機関の特性上、スムーズな引継ぎを行う上でも業務フローの仕組化が求められている。KANNAを使用することで業務フローを可視化し、これまで培った知見の蓄積が可能になる。
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