“レベル4”を見据え、空のラストフロンティアを開放するソフトバンクのドローン統合基盤「SoraBase」:Japan Drone 2024(2/2 ページ)
ソフトバンクの「SoraBase」は、ドローンの導入や運用に必要なモノとコトをワンパッケージで提供するサービス。空のラストフロンティアをドローンのテクノロジーで開放し、多産業の社会課題を解決するサービス基盤となることを標ぼうしている。
飛行中のドローンを遠隔で制御する「CloudGCS」
SoraBaseの中でも特筆すべき機能は、ドローンの飛行を遠隔で制御する「CloudGCS(Cloud Ground Control Station:クラウドジーシーエス)」だ。
CloudGCSは、SoraBaseのコア機能として、ソフトバンクの通信ネットワークとクラウドを活用した遠隔制御システム。ドローンパイロットは現地に行かずにドローンの運用が可能になり、1人のパイロットが同時に複数機のドローンを操縦する「1対多運航」も実現する。
遠隔操縦には、現地で飛行するドローン周囲の状況を正確に把握し、他者が飛ばしているドローンと接触や衝突の事故を避ける仕組み「UTM(ドローン運航管理システム)」が欠かせない。
世に出回っている多くのドローンは、接触を回避するセンサーが搭載されているが、それだけでは限界がある。そこで、UTMが他のドローンや航空機の情報、飛行計画などを管理し、同じ空域を飛行するドローン間で共有する機能を有している。CloudGCSでは、UTMに日立製作所がNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトで開発したシステムを採用している。
2024年5月17日には、日立製作所のUTMとCloudGCSを連携させて、1対多運航を想定したドローンの遠隔制御に関する検証を行っている。その結果、オペレーター1人がドローン2機を飛行させて点検するシーンを想定し、CloudGCSで飛行経路の設計を行い、UTMで有人機や無人航空機などと飛行経路が重複しないことを証明。また、飛行中のドローンが、有人機などに接近した場合や飛行禁止エリアに侵入した際、CloudGCSとUTMの双方の画面にアラートを表示し、オペレーターが緊急停止できることも確認した。
ソフトバンクは今後、国内外のドローン機体や運航管理システムなどとも連携し、UTMの機能構造に関する国際規格「ISO 23629」に準拠したドローンサービスを開発していく。さらに、防災やインフラ点検、物流などさまざまな領域で利活用が期待されるドローンの早期社会実装を目標とし、ドローンを安全安心かつ効率的に運航するための基盤やシステムの構築、ユーザーサービスの拡充にも取り組んでいくという。
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