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機体が壁にくっついて点検 神戸高専や徳島大院の技術を用いた菱田技研工業の“壁面吸着ドローン”Japan Drone 2024(1/2 ページ)

大阪府堺市に本社を構える菱田技研工業は、産業用ドローン、マンション、不動産の3本柱で事業展開する企業。ドローン分野ではカスタマイズを得意とし、ハードウェア/ソフトウェアの両面で顧客のさまざまな用途の要望に対応してきた。これまでに橋梁点検や散水といった特殊用途向けにドローンを開発し、Japan Drone 2024では垂直の壁面に貼り付いて点検や清掃などを行う“壁面吸着ドローン”の「ALBATOROSS」を披露した。

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 菱田技研工業は「Japan Drone 2024/次世代エアモビリティEXPO 2024」(会期:2024年6月5〜7日、幕張メッセ)で、壁に吸着して点検などが行える壁面吸着ドローン「ALBATOROSS(アルバトロス)」を出品した。壁に貼り付く際はドローンのプロペラを停止し、長時間で壁に吸着したまま作業を行う。高所の壁に密着できるため、足場が要らなくなり、点検や清掃など、建物やインフラ構造物のメンテナンス領域で省力化が期待される。

ALBATOROSSは親機と子機が連携

菱田技研工業のブース
菱田技研工業のブース 写真は全て筆者撮影

 ALBATOROSSは、親機が子機を作業場所まで運び、子機が作業を行う仕組みで、吸着機能は親機と子機でそれぞれに備わっている。

 作業イメージとしては、親機が子機をワイヤで吊(つ)り下げて運搬し、作業場所に到達したらウインチを緩め、子機を下ろす。

 ALBATOROSSは親機と子機はワイヤでつながっているため、子機の作業中、親機は浮上のためのプロペラを停止して上方にとどまっている。ALBATOROSSの吸着力は長時間の作業にも耐え、空中で停止するホバリングではないので風で揺れたりせずに機体が安定する。

親機が子機を吊り下げて飛行し、作業場所に子機を運ぶ。その後、子機は降下して作業箇所に吸着する
親機が子機を吊り下げて飛行し、作業場所に子機を運ぶ。その後、子機は降下して作業箇所に吸着する

 ALBATOROSSは、親機と子機を分けて機体設計しているので、移動用と作業用とで装備を分けられる。インフラ構造物や建物のメンテナンスでは、穴あけや打音検査など直接、壁に触れることが多い。しかし、壁からの反力があるため、飛行状態のドローンでは動作が不安定になってしまうが、壁そのものに強力吸着するドローンであれば、反力を考慮する必要はない。

 仮に、作業を担う子機を複数用意すれば、子機に搭載したツールの種類だけ、さまざまな作業が可能になる。

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