丸市田中建設が「ドローン赤外線外壁調査センター」開設 点検から修繕工事まで一気通貫で提供:ドローン
丸市田中建設は、ドローンと赤外線カメラを用いた低コストで高精度の外壁調査サービスを開始した。ドローンの撮影やデータ解析だけでなく、総合建設業のノウハウを生かした修繕工事までも含む一気通貫で提供する。
東京都足立区千住仲町に本社を置く総合建設業の丸市田中建設は2024年7月17日、最新鋭のドローンと赤外線カメラで、低コストでありながら高精度の外壁調査サービスを提供する「ドローン赤外線外壁調査センター」を開設したと発表した。
センターでは、これまで建物の外壁調査で悩みの種だったコストの高さや調査期間の長さについて、ドローン・フロンティアの協力を得てドローンの赤外線点検で解決するとともに、総合建設業者としての強みを生かして、調査後に劣化が判明した際に必要となる外壁改修工事も対応する。
ドローン赤外線調査とともに、壁面温度管理や地道な打診調査を併用
一定規模以上の建築物は、老朽化に伴い外壁タイルの落下などの事故で人的/物的被害が発生する恐れがあり、特定行政庁が指定する建築物などの外壁は、竣工/外壁改修などから10年ごとの“全面打診調査”が法的点検(建築基準法12条一項)で義務付けられている。ただ、2022年1月18日には、建築基準法などに基づく国土交通省告示第282号が一部改正され、打診以外の調査方法として、“テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有する無人航空機(ドローン)による赤外線調査”が認められた。
そこで丸市田中建設はドローンによる赤外線調査に着目し、足場やゴンドラなどの高額なコストを掛けることなく、高層建築物でも低コストで早期に完了する点検サービスを開始することとした。
調査時は、常に最新鋭のハイスペック赤外線サーモグラフィーカメラと自由にペイロード可能なドローンを使用する。高い飛行技術を持つパイロットと、赤外線サーモグラファーがチームを組み、外壁赤外線調査の適用条件となる壁面温度管理や地道な打診調査と併用した確かな非破壊検査を行う。
料金は目安として、ドローン赤外線調査が510円/平方メートル、ロープ打診調査も希望するとは600円/平方メートル(いずれも税別)。
丸市田中建設は、「ドローンによる赤外線調査と一口で言っても、使用されている機器には各社で差がある。スペックの低いカメラでは、外壁の浮きなどの劣化を検知できまない。その点、ドローン赤外線外壁調査センターは、最新鋭のハイスペック赤外線サーモグラフィーカメラと、柔軟にペイロード(搭載)できるドローンを投入し、他社よりも高い調査品質を確保している」と差別化ポイントを強調。
さらに、「ドローンによる外壁調査のサービスは数多くあるが、その大半が撮影業務のみ。それでは調査結果に応じた修繕対応まではスムーズに実施できない。当社のセンターは、総合建設業者の知見やノウハウで調査から工事までを一気通貫で提供するため、外壁の適正な維持管理に貢献する」とPRする。
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