クイックカプラ機能のチルトローテータと±5cm誤差の3Dマシンガイダンス、クボタのICT建機:第6回 建設・測量生産性向上展(2/2 ページ)
建機のIT化は、建設現場の効率化や安全確保に大きく寄与する。クボタは、CSPI-EXPO 2024でICT建機の先進技術を公開した。多くの来場者が注目したのは、「チルトローテータ」と「3Dマシンガイダンス」だ。
施工に合わせてツールを交換できるクイックカプラ機能を搭載
クボタのチルトローテータは、スウェーデンに拠点を置く、油圧ショベル用チルトローテータクイックカプラのメーカー「STEELWRIST(スチールリスト)」のものだ。チルトローテータには、クイックカプラ機能が標準搭載されており、作業内容に応じてツールを交換できる。
クボタのデモでは、リッパー、グレーディングビーム、ケーブルバケット、爪掘削バケットなどのツールを用意して交換した。
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オフセットブームに対応した3Dマシンガイダンスシステム
チルトローテータと並んでクボタが紹介したのが、GNSS受信機を搭載した3Dマシンガイダンスシステムだ。新世代のGNSS受信機を採用したことと、オフセットしたブームに対応したことをアピールした。
新世代のGNSS受信機は、2つのアンテナを一体化することで小型化を実現し、小型建機にも取り付けられる。従来型では、2本のアンテナを2メートル程度離して設置する必要があったため、小型建機に取り付けられなかった。
新型の受信機は、精度もかなり高い。新世代のGNSS受信機は、基地局とNtrip A3(GNSSの補正データを配信する仕組み)を融合することで、建機が稼働する現場の近くに基地局を設置しなくてもよい。現場から10キロ圏内に基地局があれば、±5センチの誤差で高精度のマシンガイダンスが実現する。
GPSの他に、日本の準天頂衛星システム「みちびき」、欧州の「Galileo(ガリレオ)」、中国の「BeiDou(ベイドゥ=北斗)」、ロシアの「GLONASS(グロナス)」など複数衛星からの電波を受信できるのも大きなメリットだ。いろいろなGNSSに対応しているので、GPS電波の状態が悪くても他の電波を使ってマシンガイダンスが行える。
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