Starlinkで建設現場を「ネットが当たり前につながる」環境に アクティオの「レンタル+コンサル」製品群:第6回 建設・測量生産性向上展(2/2 ページ)
山間部の道路やダム工事、屋内の建築現場では、十分な通信を得られないケースが多く、建設現場のデジタル化を妨げる一因となっている。建設機器のレンタルを幅広く手掛けるアクティオは、建設現場の「ネットにつながらない」課題を解決すべく、約5000基もの衛星で日本中をカバーし、「当たり前にネットにつながる」通信環境の提供を開始する。
現場のニッチなニーズに真摯に応えるコンサル+レンタル=「レンサルティング」製品群
コンサルティングのあるレンタル=「レンサルティング」の概念を提唱するアクティオ。Starlink Business以外にもブースには、顧客のニッチなニーズにも応える多種多様なレンタル商材を展示した。
「Safety Training System VR of AKTIO」は、VR映像を用いた安全教育システム。トンネル点検作業車からの墜落、建機作業中の衝突など、現場で発生しうる20種類以上の“不安全”な行動を疑似体験することで、現場での安全意識の向上につなげるというサービスだ。頭に装着するヘッドセットと歩行型のVRデバイスを組み合わせたシステムで、オプションでキュービクル作業やポンプ取替え作業などを想定した感電体験も用意している。
「Pipe Shot(パイプショット)」は、ICTを活用した掘削位置自動測量システム。掘削機械で地中を掘り進め、下水道管などのパイプを埋設する工事(推進工法)では、作業員が管内に入り、測量機器の位置を移動させながら、管の位置を計測する。しかし、機器を何度も移動させるために、測量誤差が生じやすく、測量時間もかかっていた。さらに、作業員の高齢化や管内での苦渋作業による人手不足も、深刻な状況にある。パイプショットは、立坑内のトータルステーション(TS)と、管内に置いた複数台のTS同士の通信を使って計測を自動化するため、安全確保と精度向上の両方が実現する。
パイプショットを構成する機器。立坑の基準点、ヒューム管内の中間点にアクティオでカスタマイズした専用測量機を設置し、掘削機の先端には目標物となるマシンターゲットを取り付けて位置を測量する。タブレットPCやスマートフォンに連携することで、誰でも速やかに高精度な測量を行える 筆者撮影
「T-クイックショット」は、発破掘削の際の火薬を装填(そうてん)する装薬作業を、高速化する装置だ。作業員は切羽(掘削の最先端)から数メートル離れた場所から作業するため、切羽から土砂や岩が剥がれ落ちる「肌落ち」による災害リスクを防げる。
参考出品では、建機に取り付けた4台のカメラで全周囲の安全確認とAIによる人検知機能を備えた360度のAIカメラ、トンネル坑内で資材を運搬するバッテリー機関車向け人検知機能付きAIカメラ、軌陸車用のAR軌線支援システムなどをラインアップする「Around Shotシリーズ」も紹介した。
屋外展示場では、衛星測位システム(GNSS)とファンの風力で吊(つ)り荷の旋回を制御する「Vita Load Navigator(ビタロードナビゲーター)」をデモ。高速道路の橋梁(きょうりょう)や風力発電のブレードなど、長尺の荷を吊る際の作業効率と安全性を高める。
同じくデモで、まぶしい光を放って作業員が作業していたのが「Cool Laser(クーレーザー)」。クーレーザーは、高出力レーザーでサビや塗膜、塩分を除去する装置。従来の塗り替え工事では、塗膜除去、塩分除去、素地調整(ブラストなど)の各工程で異なる装置を用意する必要があった。
世界最高峰出力レーザーを誇るクーレーザーは、そうした工程を1台で全てこなせるため、作業時間の短縮やメンテナンス工事の担い手不足の解消につながることが期待されている。
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