中小建設事業者のDX導入支援を拡充へ 岸田首相が有識者会議で指示:産業動向(2/2 ページ)
政府は首相官邸で「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」を開催した。会合には建設テック事業者を中心とした6社から成る建設DX研究所が出席し、中小建設事業者へのDX導入支援などについて訴えた。岸田文雄首相は会合での議論を踏まえ、人手不足の解消に効果のあるIoTやロボットなどの汎用製品の導入を支援する「中小企業省力化投資補助事業」について、建設DX関連の製品も追加するよう国土交通省などに指示した。
建設DX研究所「中小建設事業者のDX導入支援を」
国内投資拡大のための官民連携フォーラムには、建設テック事業者を中心とした6社から成る建設DX研究所が出席し、所長の岡本杏莉氏(アンドパッド 上級執行役員)が、建設業界の人手不足や就業者の高齢化、労働生産性の低さなどの課題について説明した。岡本氏は、低労働生産性の要因はアナログな現場環境にあり、特に事務作業や移動時間の負担が大きいとして、特に中小建設事業者へのDXの重要性を訴えた。
さらに、建設DXによる生産性向上の事例や、中小建設事業者の声を踏まえた政府への3つの提言を発表。(1)建設行政書類や手続きの簡素化/電子化の推進、(2)中小建設現場の実情に応じた遠隔臨場/遠隔巡視の実現、(3)中小建設事業者による建設DX導入支援について呼び掛けた。
建設DX研究所は2023年1月、アンドパッド、構造計画研究所 、セーフィー、Polyuse、Liberaware、ローカスブルーの6社により設立された。建設DXの推進による業界の課題解決を目的とした任意団体で、発足以降、最新の政策や最先端テクノロジーに関する情報発信、建設DXベンチャーや省庁、アカデミアなどと連携した勉強会の開催、関係省庁/議員などに向けた政策提言を実施している。
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