高砂熱学とAutodeskが戦略的提携を再締結 BIMを中核に業務プロセス全体を変革:産業動向
高砂熱学工業と米Autodeskは、「戦略的提携に関する覚書」を更新した。両社は、BIMを中核とした新たな業務プロセスの確立と、建物運用時のカーボン排出量を含む建物ライフサイクル全体でのカーボン最適化を目指す。
高砂熱学工業と米Autodeskは、建設DXやBIMの推進に向け、新たな「戦略的提携に関する覚書(MOU2.0)」を締結したと2024年4月24日に発表した。
全プロセスのBIM連携とトータルカーボンソリューションの確立
高砂熱学工業は、2021年にDX戦略を策定し、翌年2月にはAutodeskと「戦略的提携に関する覚書(MOU1.0)」を取り交わした。高砂熱学工業のDX戦略は、AutodeskのBIMソフト「Autodesk Revit」を中心に位置付けており、これまでのMOU1.0では設備工事でのBIM標準化とRevit利用環境の整備を進めてきた。
今回、新たに戦略的提携をMOU2.0として更新し、Revitを含むBIM関連データの活用により、生産性向上や付加価値創造に取り組む。
左からオートデスク アジアパシフィック・日本担当バイスプレジデント ハレッシュ・クープチャンダニ氏、Autodesk シニアバイスプレジデント 兼 チーフ レベニュー オフィサー ローランド・ゼラス氏、高砂熱学工業 取締役 専務執行役員 横手敏一氏、DX戦略統括部長 片山健一郎氏 出典:高砂熱学工業プレスリリース
取り組みの主な内容としては、既にグローバルでサステナブルな評価を得ているAutodeskのソリューションを用い、建物ライフサイクル全体で、カーボンを最適化するトータルカーボンソリューションを確立。その結果、建設/改修/解体時だけでなく、建物運用時のカーボン排出量までを含む、全ての温室効果ガスの見える化や設備分野での脱炭素などが実現する。
業務プロセス全体にわたるBIMデータの連携では、建設業の業務プロセスを統合するために、Arentと開発しているプラットフォーム「PLANETS(プラネッツ)」で業務プロセス全体の変革を進める。具体的には、PLANETSのベースにRevitやクラウド開発プラットフォーム「Autodesk Platform Services」を活用し、設計自動化や見積支援、見積/原価管理、引合、施工図自動作成、工程管理、進捗管理、品質管理、運用管理のBIMを中核とした9つのSaaSプロダクトを実用化させる。
さらに、RevitやPLANETSなどのデジタル基盤に蓄積されたデータのAI活用で、業務効率の大幅改善などDXの高度化に加え、顧客への新たな付加価値の創造と提供も見据えている。
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