「CO2を食べる自販機」由来の道路用材料を開発、アサヒ飲料と前田道路:脱炭素
アサヒ飲料と前田道路は、「CO2を食べる自販機」で回収したCO2を活用し、道路用材料を共同開発した。既に、アサヒ飲料の研究施設内の道路に活用する実証実験を開始している。自動販売機を通じて吸収した大気中のCO2をアスファルト舗装材料に用いる取り組みは、両社によると国内で初めて。
アサヒ飲料は2024年5月24日、「CO2を食べる自販機」で回収したCO2を活用し、前田道路と共同で道路用材料を開発したと発表した。2024年5月下旬から、アサヒ飲料研究施設内の道路に活用する実証実験を開始している。道路材料の石粉の代替品としてCO2吸収材を利用することで、石粉を使用した一般的な道路材料と比べて、道路面積1平方メートルあたり約0.9キロのCO2排出量を削減できるという。自動販売機を通じて吸収した大気中のCO2をアスファルト舗装材料に使用する取り組みは、両社によると国内で初めて。
CO2を食べる自販機は、自動販売機の庫内にCO2を吸収する特殊材を搭載している。アサヒ飲料と前田道路は2023年8月、道路などのインフラ設備を利用したCO2資源循環システムの開発と検証に着手し、アサヒ飲料がCO2吸収材を前田道路に提供、前田道路はCO2吸収材を利用したアスファルト混合物の道路用材料としての可能性を検証してきた。
既に、CO2吸収材の道路用材料としての適用性や、この道路材料を利用したアスファルト混合物の仕様規定への適合性を確認し、室内検証を終了している。今後、実道への適用に向けて、施工性や耐久性などを評価する。さらに、アスファルト混合物の製造方法の検討や環境負荷の低減度などを検証し、全国の約120万キロに渡ってネットワークされた道路の一部に適用した場合の効果も確認する予定だ。
稼働電力由来のCO2排出量の最大20%を吸収する自動販売機
CO2を食べる自販機は、1台当たり、年間で稼働電力由来のCO2排出量の最大20%を吸収すると見込まれている。実証実験では、関東/関西圏を中心に、CO2濃度が高いとされる屋内をはじめ、屋外を含むさまざまな場所に約20台を設置。CO2吸収量や吸収速度などを比較/検証している。
吸収したCO2は、取り組みに賛同する自治体や企業とともに、さまざまな工業原料として活用することを計画している。吸収材を肥料に配合して土壌に散布することでCO2の土壌貯留を図る他、コンクリートの原料に配合しCO2の固定化や海中での藻場造成などに活用してブルーカーボン(海洋生態系に蓄積される炭素)生態系の再生を図ることなどを検討している。
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