中国建機メーカー「柳工」が日本進出 環境負荷ゼロのBEV建機で運用コストも削減:第6回 建設・測量生産性向上展(2/2 ページ)
中国の建設機械メーカー「柳工(LiuGong)」は、「第6回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」に初出展し、100%電気で稼働するBEV建機で日本市場への進出を表明した。
バッテリーシステムは、世界有数のEV電池メーカーCATL製を採用
ブースで披露したのは、全てバッテリーで稼働する新しい電動建機の計6機種で、車体を緑色に統一し、「柳工のEV建機=エコなカラーのグリーン」で、ブランドイメージの定着を図っている。電動建機は、稼働時にCO2を排出せず、従来型の建機に比べて騒音も抑えられるため、今後ますます注目が集まることが予測されている。
まず目を引いたのは、ブース正面で来場者を出迎える大型バックホー「922FE」。423キロワット(kWh)のリン酸鉄リチウムイオン電池(LFPバッテリー)を搭載したモデルで、8〜10時間連続稼働し、90分で急速充電が完了する。ICT技術も搭載し、港湾や発電所といった騒音や排気ガスが制限される場所でも効率的で安全な作業ができる。
存在感のある大型ホイールローダー「870HE」は、423kWhのLFPバッテリーを載せ、稼働可能時間は連続8〜12時間だ。標準バケットの容量は4.7立方メートルで、トンネル、ポート、鉱山、採石場、骨材などの用途が見込まれる。
小型電動ショベル「9027FE」は、20.6kWhのLFPバッテリーパックで駆動し、稼働時間は3〜4時間。機械全体の電圧は48ボルト(V)のため、高圧電気利用のトレーニングは必要ない。修理やメンテナンスが容易というメリットもある。
今回発表した高電圧モデル3機種は、柳工の戦略的パートナーで、中国大手の電気自動車用電池メーカー「寧徳時代新能源科技(CATL)」のバッテリーシステムを採用している。
他に、4.7立方メートルのホイールローダー「856HE」をはじめ、展示ホールやビル管理、倉庫、工場、物流倉庫に適する高所作業車の「LSO607E」と「LSO808E」、建機に充電を行う急速充電設備も出品した。充電設備のサイズはコンパクトで、電話ボックスと同等。発電機と建機の間で充電の制御を行い、定格出力は160kWとなっている。
【訂正】記事の初出時、翻訳文に不明瞭な部分があったため、全体を見直し、加筆修正しました(2024年5月30日14時35分)。
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