札幌中心地に地上10階建て“耐火木質”の「キニナル ビルディング」開業、熊谷組と住友林業:CLT
北海道札幌市中央区で、住友林業と熊谷組が施工を手掛けた地上10階建て耐火木質ビル「木NINARU BLDG.」が開業した。
住友林業と熊谷組は、札幌市中央区で10階建ての耐火木質ビル「木NINARU BLDG.」(キニナル ビルディング)が2024年4月29日に開業したと発表した。
地元産業と若者を支援する拠点に
施主は農業のIT化推進事業などを展開する「Beppo Corporation」で、ビルは北海道の若者や産業を支援する拠点として用いる。設計はアトリエオンド一級建築士事務所、施工を熊谷組と住友林業のJVがそれぞれ担当した。工期は着工が2022年6月、完成は2023年6月、2024年4月に内装工事が完了した。
設計段階から、北海道の若者と産業を支援する拠点となることを見据え、「ひと・もの・こと」が高次元でつながる場づくりを実現しようと考えた。狭小敷地で建築制限がある中でも空間構成や次世代につなぐ技術を取り入れている。
所在地は、北海道札幌市中央区南1条西2丁目1-2の敷地面積139.05平方メートル。鉄骨造地下1階地上10階建てで、延べ床面積は1152.02平方メートル。空間構成の工夫では、コミュニケーションの活性化を促すために2層吹抜けのインナーテラスを設けてつながりのある空間にした。
次世代につなぐ技術として、都市部のビルを木質化するため、7〜10階に北海道産材を使った木質ハイブリッド集成材(集成材を耐火被覆して木質感を持たせた材料)を北海道で初めて採用した。
札幌市中央区南1条通に面する。1階にピスタチオ菓子専門店「佐藤堂本店」、2〜3階にパフェ専門店「パフェ、珈琲、酒、佐藤」、4〜8階にワークスペース「TREE BASE」が入居した。4〜6階のシェアオフィスは各テナント企業が利用可能で、7〜8階はコワーキングスペースとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 建築物の木造化/木質化:木造技術を活用した3種類の床工法を竹中工務店が開発 「KiPLUS」シリーズ第3弾
竹中工務店は、CLTとコンクリートスラブを組み合わせた3種類の床工法を開発した。空間設計の自由度を高めるとともに、施工性の向上や工期短縮を実現する。 - 産業動向:羽田空港に木造/鉄骨ハイブリッド構造のサテライト施設建設 2026年夏に供用開始へ
日本空港ビルデングは、羽田空港の第1ターミナル北側に、羽田空港では初となる木造/鉄骨ハイブリッド構造の出発/到着ゲート施設を建設する。2026年夏頃の供用開始を目指す。 - 施工:木造ハイブリッド構造の賃貸マンションを開発、第一生命グループ初
第一生命グループの相互住宅は、神奈川県横浜市に木造ハイブリッド構造の賃貸マンション「フレンシア青葉台」を新設した。柱などの構造体の一部の他、内装/外装の仕上げ材の一部に木材を採用し、合計約27.2立方メートルを木質化した。CO2固定量は約15.3トン。 - 施工:鉄骨造とCLTとのハイブリッド構造の適用範囲を拡大、熊谷組
熊谷組は、鉄骨造とCLTのハイブリッド構造「木質耐震垂れ壁構法」の適用範囲を拡大した。垂れ壁部材の寸法や柱スパンにも、新構法の対象が広がったことで、多様な建物や多くの箇所に木材活用が期待される。 - 導入事例:鹿島建設が「理論の学習」×「実務の体験」の研修施設「鹿島テクニカルセンター」を開設
鹿島建設は、「FEEL&THINK」をメインコンセプトに掲げ、社員が五感で感じ考える研修施設「鹿島テクニカルセンター」を開設した。 - 第7回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−:2050年の“ゼロカーボン”達成に向け、国交省が提言する住宅の断熱と国産木材の利用
2050年までに温室効果ガス排出をゼロにする政府の宣言は、生活のあらゆる場面に大きな影響を与えている。建設関連では、CO2排出量に占める比率が高いオフィスビルや住宅で、消費エネルギーをいかに減らすかが大きなテーマとなっている。