建設業の課題解決には「情報とそのマネジメントの成熟度が不可欠」伊藤久晴氏がBSIで講演:BIMを軸とした建設業の未来像 Vol.2(3/3 ページ)
BIMの根幹となる“情報マネジメント”は、設計〜製造〜施工〜運用の建設生産プロセスで、あらゆる情報が“つながる”ことを意味する。BIMによる情報マネジメントが可能になれば、単にIT化や業務効率化だけでない業界や産業を超えたDX=変革が実現し、その先には建設からのアプローチによる持続可能(サステナブル)な社会ももたらされる。
BIMの情報マネジメントシステムを規格化した「ISO 19650」
伊藤氏は、情報が少なすぎたり、逆に作りすぎたり、品質が低すぎたりといった日本でのBIMの問題点を列挙し、「10年ほど前までは海外でも同様なことが起きていた」と指摘する。その有効策が、情報マネジメントととなる。
BIMで発生している問題を解消するには、技術、人、プロセスを三位一体で連携し、情報マネジメントによって管理することが欠かせない。伊藤氏は、「今のBIMは技術ではない。現在、世界でやっているBIMは情報マネジメントだ。そして、BIMを含む建築・土木に関する情報を統合/デジタル化し、社会課題の解決に向けて活用するための要求事項を規定したものがISO 19650となる」と提言。
情報マネジメントは、設計・施工・運用の情報をBIMでつなげる。つなげた情報を活用することで、生産性向上をはじめ、労働安全衛生やカーボンニュートラル、情報セキュリティといった持続可能な社会(デジタルウェルビーイング)の実現に向けた課題が解決し、本当の意味でのDXへと至る。伊藤氏は、「こうした課題解決への道筋をあらかじめ計画しておくことが大切となる」と付け加えた。
この後、伊藤氏は2024年6月から、BSIジャパンで日本向けに運用段階にあたる「ISO 19650-3」の情報マネジメント講習を開始すると案内し、講演を締めくくった。
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