3Dプリンタで樹脂窓枠をExtraBoldが製造 セレンディクスの「serendix10」に実装:デジタルファブリケーション
ExtraBoldは、3Dプリンタ住宅メーカーのセレンディクスからの依頼を受け、デザインの自由度とコスト削減を両立した樹脂窓枠を3Dプリンタで製造した。
ExtraBold(エクストラボールド)は2024年5月7日、セレンディクスからの協力要請で、3Dプリンタで樹脂製の窓枠を製造したと明らかにした。窓枠は、ペレット式大型樹脂3Dプリンタ「EXF-12」を用いて製作し、デザインの自由度と製造コストの削減を実現した。セレンディクスによると、販売モデルに3Dプリンタ製の窓を使用したのは世界初の取り組みだという。
大型成形にも対応し、従来比で5分の1の時間で出力
製作にあたっては、セレンディクスが販売するコンクリート製3Dプリンタ住宅「serendix10」の三角窓形状に合わせ、EXF-12で耐候性に優れたAES樹脂を使用して窓枠部分を出力した。
規格外の特殊な形状の窓は、特注で製作するために費用が高額だったが、3Dプリンタで製作することで、自由度の高いデザインと低コスト化の両立が実現する。3DプリンタのEXF-12は、最大で1.7(幅)×1(高さ)×1.3(奥行き)メートルの大型成形に対応している他、従来技術と比べ、5分の1ほどの時間で出力するため、高い生産効率も併せ持つ。
ExtraBold 代表取締役CEO 原雄司氏は今後、「特別な窓枠を提供するだけでなく、リサイクル材料やバイオプラスチックなどの持続可能な材料を活用した内装の開発にも力を入れていく」とコメント。
ExtraBoldとセレンディクスの連携は、3Dプリント技術を活用して住宅建材の多様性とアクセスを改善する活動の一環と位置付け、セレンディクスが目指す「住宅産業の完全ロボット化」を継続して目指していくとしている。
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