プロ野球公式グッズストアの混雑解消で空間データ活用 福岡ソフトバンクホークスと丹青社が検証:製品動向
丹青社は、空間データの取得/活用サービスを利用し、福岡ソフトバンクホークスの公式グッズストアで、試合直前の時間帯に混雑が集中する野球場内の店舗特有の課題解決に取り組む。
丹青社は2024年4月23日、福岡ソフトバンクホークスの公式グッズストア「HAWKS STORE HOME」に空間データ取得/活用サービス「FAC+(ファクタス)」を導入し、混雑による売上機会損失の解消や、商品レイアウトの最適化を図るための検証を行うと発表した。
FAC+を活用し店舗が持つ課題と実態を可視化
福岡ソフトバンクホークス本拠地「みずほPayPayドーム福岡」に隣接する公式グッズストアは、試合開始前に混雑のピークを迎え、店内にはレジ待ち行列などが発生する。こうした状況が、グッズの売り逃しにつながっているのではないかという懸念が以前から挙がっていた。
丹青社は今回、福岡ソフトバンクホークス、ファナティクス・ジャパンと共同で、プロ野球公式戦の期間中に店舗内にWebカメラを設置し、入店者属性や特定エリアへの滞在時間、混雑エリアなどのデータを取得。多角的な視点から分析を行い、店舗が持つ課題や実態を可視化する。
結果をもとに、混雑時のレジの最適化や店舗内回遊を活性化させるVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)などの改善施策を実施することで、野球場内のショップならではの特性に起因する店舗課題の解決を図る。
データ取得期間は任意設定が可能、取得データは最短翌日にレポート化
今回の検証で使用されるFAC+は、空間に関するデータ分析とデザインを掛け合わせ、空間価値を最大化する丹青社のサービス。感性やセンスによって行われている空間づくりに、定量的なデータ分析を加えることで、空間の課題抽出から解決策の提案までワンストップで行えるようになる。
データ取得期間は、1日だけの限定的な利用から長期利用まで、稼働日数に応じた利用料制で対応する。取得データは、最短翌日にレポート化し、提供する。
FAC+は今回の実証場所である物販店舗だけでなく、飲食店や商業施設、オフィス、博物館、イベントなどさまざまな空間にも対応できるとしており、丹青社は、今後もさまざまな施設の特性に合わせ、価値を最大化する空間づくりを推進する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- デジタルツイン:既存建物のデジタルツイン構築を効率化 BIM化して台帳情報と関連付け、建物の状態を把握
BIPROGYとリコーは、空間データを自動作成し、デジタルツインを活用して建物の設備管理を行うための実証実験を行った。リコーの「空間データ作成/利活用AIソリューション」と、BIPROGYが販売する統合型ワークプレース管理システム「Archibus」を相互接続し、台帳連動型デジタルツイン構築の効率化を検証した。 - ジェネレーティブデザイン:Matterportに生成AIを実装した「Genesis」を年内リリース チャットだけで3Dモデルの設計変更を自動化
Matterportは、AIファースト戦略を打ち出し、ディープラーニングとコンピュータビジョンに生成AIを組み合わせた「Genesis」をデジタルツインプラットフォームに実装する。 - BIM:LIXIL「パブリックトイレ空間BIMモデル」に新プラン追加
LIXILは、パーテンションメーカーのコマニー社と共同開発した「パブリックトイレ空間BIMモデル」に、国土交通省が令和3年に改正した建築設計標準対応の新規プランを追加することを発表した。 - AR:変電所屋外設備の保守にARを活用する検証を実施、プレミアムアーツら
プレミアムアーツ、マーターポート、PTCジャパンの3社は、中部電力とともに、拡張現実や空間データプラットフォームを活用し、屋外での設備操作に対する安全と信頼性の確保に向けた検証を行った。 - 建築デジタルツイン:360度撮影で日本全域の建築空間を3Dデータ化、Matterportの市場戦略と最新Pro3など製品群
建築物のデジタルツインなど空間データ利活用分野のリーディングカンパニーである米Matterportは2022年4月、日本法人となるマーターポートを設立した。2017年の日本上陸以来、Matterportはあらゆる建物空間のデジタルツインを誰でも容易に作成できるソフトウェアを提供し、主に建築・建設分野で急成長してきた。日本法人設立を機に販売支援体制の確立を推進し、導入支援とサポート体制を拡充させ、幅広い分野へ展開していくことを目指している。 - 3DCG:パスコ、3Dビジュアライゼーションソフトの国内販売を開始
パスコは、Skyline Software Systemsの3Dビジュアライゼーションソフトウェアの国内販売を開始するとともに、日本語化に着手する。日本語版は、2022年秋から販売開始する予定となっている。