パナソニックがインターフォンを利用した広告事業を開始、新築大規模マンション向けに展開:スマート化(2/2 ページ)
パナソニック エレクトリックワークス社は、マンションのインターフォンで地域情報を配信する広告事業「まちベル」を開始し、新築大規模タワーマンション向けに展開する。2030年に全国展開100エリアでの導入により、売上16億円を目指す。
平均閲覧実績は3割、集客率は4.5%に
まちベルの2つ目の特徴が、高い閲覧率とコンバージョンにあるという。マンション居室内に必ず設置されているインターフォンで配信するという特性から、視認性が高いことに加え、特定のマンションの住民にねらいを定めてアプローチできるためだ。2022年に行った実証実験では平均閲覧実績は3割を超え、また、一般的にチラシ集客率が0.01〜0.3%とされているところを、まちベルで配信した広告では平均4.5%を実現した。
普段生活しているだけでは得られない情報が届くまちベルのサービスは、マンション住人ニーズにも合致し、8週連続で配信した際にも2割の住民が毎週閲覧するなど、継続的なコミュニケーションツールとして機能していることも分かった。
また、3つ目の特徴が、閲覧データなどの分析レポートを、事業者の販売促進の改善やイベント企画に活用できる点だ。マンション単位の閲覧数やクーポンの取得率、閲覧した住民の属性などのデータをフィードバックするだけでなく、分析した結果を踏まえ、次回のイベントを改善する取り組みを支援する。1カ月ごとに「月次ミーティング」を設け、事業者に配信レポートを示しながら内容の改善策を提案する他、配信3カ月ごとに、3カ月間のレポートと次の3カ月のロードマップを確認する「ビジネスレビューミーティング」を実施する。まちベルを通して、地域事業者のファン作りを支援し、地域活性化にもつなげていく。
将来は小規模マンションや戸建てへの配信も視野
まちベルは多摩エリアの520戸あるタワーマンションから事業を開始しており、今後、昭島と十条の大型タワーマンションへの導入が決定している。サービス開始当初は、大型の新築タワーマンションに向けて、大型商業施設から情報を配信するモデルを展開する。
2025年度以降は、大型マンションを核に、近隣の小規模分譲マンションや、賃貸マンション、戸建て住宅なども配信対象に含めることや、小規模事業者の情報も配信することなどを検討し、面的な拡大も視野に入れる。また、広告の閲覧から予約、決済までワンストップで行えるサービスの導入なども検討していく。
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