中小建設業で2人に1人がDXを「聞いたことがない」 デジタル化を阻む要因はコストと旗振り役の不在:調査レポート(2/2 ページ)
Chatworkは、「2024年問題」の影響が懸念される建設、物流、製造業の中小企業を対象に、DXやSaaSの認知度と理解度、活用状況などを分析した。建設業のDXやSaaSへの理解度はいずれも低く、デジタル化を阻む要因として、金銭面のコストや、社内に詳しい人がいないといった課題が明らかになった。
連絡手段は基本「電話」、Web会議とビジネスチャットは「あまり使用しない」
調査では、顧客や協力先企業などとの連絡手段と使用頻度についても調べた。建設業では、「電話」が70.3%で最多だった。次いで、「メール(業務用アドレス)」が55.6%、「FAX」が39.5%と続き、いずれも全体を上回った。特に「電話」の使用頻度が全体と比較して6ポイント高い結果となった。
電話やメール、FAXが依然として多く利用されている一方、Web会議やビジネスチャットの使用頻度は低く、「Web会議」をほぼ毎日使う割合は1.5%、「ビジネスチャット」は11.9%にとどまった。
なお、SaaSツールを社員がどの程度使いこなせているかを調査した結果では、3業界全体で、導入率が最も高い「Web会議」では65.2%、「ビジネスチャット」は74.1%が、使いこなしている割合(「ほぼ全員が使いこなせている」と、「6〜7割が使いこなせている」の合計)が高かった。
一方で、「給与計算」「経費精算」は3業界全体で5割以下となり、導入後の使いこなしにもハードルがあることがうかがえた。
デジタル化を阻む課題とは?
ITツールの活用やシステム導入などのデジタル化を進めるにあたり、どのような課題があるかを聞いたところ、全体では「金銭面のコストが大きい」が35.0%と最も多かった。次いで「導入しても効果が分からない、評価できない」(25.6%)、「社内に詳しい人がいない、旗振り役がいない」(24.5%)の順だった。
建設業では「社内に詳しい人がいない、旗振り役がいない」が2位(29.7%)、3位は「導入しても効果が分からない、評価できない」(26.6%)だった。
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