安藤ハザマ、山岳部のダム建設現場でローカル5Gと衛星通信連接の実証に成功 東大と連携:5G
安藤ハザマは東京大学と共同で、ローカル5Gと低軌道衛星通信を連接し、通信環境が脆弱な山岳エリアでも遠隔地と円滑なコミュニケーションが可能なネットワークシステムを構築した。現場の安全管理や施工管理業務を効率化する。
安藤ハザマは2024年3月1日、東京大学大学院 工学系研究科と共同で、山岳エリアのダム建設現場で、ローカル5Gシステムと低軌道衛星回線の連接ネットワークの実証に成功したと発表した。遠隔臨場や工事関係者間の円滑なコミュニケーションを実現し、現場の安全管理と施工管理業務の効率化を図る。
ローカル5Gと低軌道衛星通信を連接し、円滑な電波伝搬や通信の送受信を実現
両者は2023年10月19日、山岳エリアのダム建設現場にローカル5Gシステムと低軌道衛星通信の連接環境を構築した。電波伝送や通信の送受信が可能なことを確認するため、測定器とローカル5G端末を用いて電波伝搬状況を確認するとともに、山岳エリアのダム建設現場におけるローカル5Gの電波伝搬ヒートマップを作成。また、ローカル5Gシステム内のローカル通信や低軌道衛星通信経由時のインターネット接続における通信帯域を測定した。
実証の結果、遠隔地の現場事務所と映像、音声双方でコミュニケーションが問題なく取れることや、建設現場に設置した4Kカメラの映像をインターネットを通じて現場事務所で視認できることを確認した。
なお、実証に使用されたローカル5Gシステムは東京大学 中尾研究室が研究開発したもの。幅515ミリ×高さ415ミリ×奥行200ミリの小型軽量型で、持ち運びできる。消費電力も約90Wと小さく、バッテリー駆動も可能だ。また、AC100Vとインターネットを直結するだけで、建設現場で短時間かつ容易に、ローカル5Gの情報通信インフラを整備できる。
安藤ハザマは今後、さらなる課題解決に向けた検証や社会実装を進めていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 施工:コンクリ打継面処理の良否を画像で瞬時に判定 安藤ハザマが開発
安藤ハザマは、コンクリート構造物の品質向上と現場施工の効率化を目的に、コンクリート打継面処理の評価を誰でも瞬時に判断できる評価システムを開発した。タブレット端末で撮影した画像から打継面の良否を判定し、未処理部分を漏れなく抽出する。 - AI:安藤ハザマ、建設分野に特化した文章生成AIの運用開始 画像/動画の生成にも着手
安藤ハザマは建設分野に特化した文章生成AIの運用を開始した。建設業向けの大規模言語モデル(LLM)を導入するとともに、自社の施工技術や研究開発などに関する独自データを取り込み、専門的な質問に対しても正確な回答を得られるようになった。今後は外部データベースとの連携や、設計などのクリエイティブ領域における生成AI開発を進める。 - 施工管理:現場効率化を支援、山岳トンネル施工管理システム「Hi-Res」を現場展開
安藤ハザマは、ICTにより山岳トンネル工事の生産性を高める取り組みとして「山岳トンネル統合型掘削管理システム(i-NATM)」の開発を推進、その一環として、現場の重機機械・プラントの稼働状況から、省エネルギー化と施工効率改善の支援を行う施工管理システム「Hi-Res」を菅機械工業と共同開発した。 - 現場管理:建設現場の騒音原因を特定 3Dマイク収録のデータ解析ソフトウェア「OnView」を安藤ハザマら4社が発売
長谷工コーポレーション、安藤ハザマ、佐藤工業、CAEソリューションズの4社は、建設現場周辺の外部騒音をはじめとする都市環境での音の発生や伝搬の要因などの調査に役立つ、3Dマイクロフォン収録データ解析ソフトウェア「OnView」を開発した。 - FM:安藤ハザマ、建築物のLCAを見積書から自動計算する支援システム
安藤ハザマは、温室効果ガスなどの環境影響物質を建築工事の見積書から自動計算する仕組み、LCA支援システムを開発した。 - ローカル5G:安藤ハザマとミライト・ワン、トンネル内のローカル5G検証で有効性確認
安藤ハザマとミライト・ワンは共同で、ローカル5Gの品質検証および開発した低遅延カメラによる映像処理の高速化検証を実施した。北海道新幹線、後志トンネル(天神)他工事の坑内において有効性を確認した。