地震/津波/風水害の恐ろしさをVRで体験 ゴーグルも提供するTOPPANの“災害体験VR”:レジリエンス
TOPPANは、VRで地震/津波/風水害をリアルに体験できる「災害体験VR」を2023年末から提供している。ヘッドマウントディスプレイと再生用アプリ、コンテンツがセットのため、商品到着後すぐに防災教育が行える。
TOPPANは、VR用ゴーグルのヘッドマウントディスプレイ(HMD)で、地震/津波/風水害の3種類のコンテンツが体験できる「災害体験VR」を提供している。高精度なVR映像で、自然災害の恐ろしさをリアルに近い感覚で体験することで、普通に映像を見るだけよりも没入感のある体験となり、今後は、自治体での防災イベントや企業の防災教育などに提案していく。
VRゴーグルも同梱で提供、2024年度で5億円の売上を目指す
災害体験VRは、TOPPANが危険体験安全教育用VR「安全道場VR」などの製作で培ったVR表現技術により、VR映像はリアルに近い災害の状況を再現している。コンテンツは、映像と効果音のみで構成しているため、母国語が日本語でない外国人でも防災意識を醸成に役立つ。
HMD1台で稼働できるため、PC接続など複雑な準備や設定が要らず、防災イベントや授業など、初めて使う人でも簡単に体験できるのが特長となっている。
価格は、アプリケーションをインストール済みのHMD1台と3コンテンツがワンパッケージとなり、19万8000円(税別)で、発注から1カ月以内の納期を予定している。災害体験VRを自治体をはじめ、学校や地域団体などに提供し、関連受注含め、2024年度で5億円の売上を目指す。
自然災害は発生時期の予測が難しく、防災意識を保つには防災訓練や防災意識を高めるコンテンツで継続的に学習することが必要とされる。そのためTOPPANは、これまで自治体や専門家と共に「リアルハザードビューア」などの防災コンテンツを製作してきた。
しかし、各地の防災イベント体験者アンケートで、VRの防災訓練はリアルに近い体験ができるため、頭で理解するだけでなく記憶にも残りやすいことも判明していた。ただ、災害時のVR映像は、オリジナルだと膨大な費用がかかるため、大きな自治体でしか製作できなかった。
そこで今回、TOPPANは全国で誰でも手軽に導入できる啓発コンテンツとして、自然災害のリスクを汎用VRコンテンツで体験する「災害体験VR」を開発するに至ったという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- メタバース:メタバース空間で建物の諸検査を行うシステムを開発、清水建設
清水建設は、施工中の建物を再現した仮想空間の中に入ることで、遠隔地から建物の諸検査を行えるメタバース検査システムを開発した。3D点群モデルと設計BIMデータを融合させたメタバース空間で、施工中の建物が設計通りか、遠隔検査が可能になる。 - 建築設計×コンピュテーショナルの現在地:落合陽一氏の万博パビリオンを手掛けた「NOIZ」が語る「フィジカルとデジタルの境界に浮かぶ未来の建築設計」
大阪・関西万博で、テーマ事業プロデューサーの落合陽一氏が企画するパビリオン「null2」の設計を手掛ける「NOIZ」は、建築のフィジカル要素とコンピュテーショナルデザインなどのデジタル技術との融合で、新しい建築設計の可能性を模索している。null2で具現化を目指す、未来の建築デザインをNOIZの設計担当者に聞いた。 - メタバース:静岡県を“丸ごとスキャン”した3次元点群データで、メタバース空間「Metaverse SHIZUOKA」を構築
リプロネクストは、静岡県が県土を丸ごとスキャンした3次元点群データ「VIRTUAL SHIZUOKA」をもとに、メタバース空間「Metaverse SHIZUOKA」を構築した。県の交通基盤部 建設政策課 未来まちづくり室では、身体的/物理的な制約を超えた県の広聴活動や広報活動を行う、県内外の人々との交流拠点と位置付けている。 - xR:舗装材の体積量をiPhoneだけで計測、イクシスがAR体積管理サービスを2024年4月に開始
イクシスは、AR技術を活用し、舗装材の体積管理が1人で完結する新サービス「GENBA-Scan」を開発した。砂や砂利、砕石といった骨材を対象に、iPhone標準搭載のLiDARセンサーで3Dデータを取得して、スマホアプリで体積量を計測する仕組みだ。 - xR:現場をVRデータ化して施工管理する新サービス「Stages」開始、野原グループ
野原グループは、施工現場のVR撮影データを生成し、工事管理や監理業務といった施工管理を支援するサービス「Stages(ステージーズ)」を開始した。 - xR:都市計画がxRで実現!PLATEAU互換のWebデジタルツイン基盤「torinome」とは?
3D都市モデルのPLATEAU普及とともに、都市計画や建築計画の現場で3Dモデル活用が広がりつつある。ホロラボが開発したWebアプリケーション「torinome(トライノーム)」は、PLATEAUのオープンデータをベースに、GISや画像、動画、3Dモデルを重畳して、住民を含む関係者間で計画や業務内容を視覚的に共有して、スムーズな合意形成が図れる点が街づくりに関わるステークホルダーから注目を集めている。