大林組が“木造の仮設現場事務所”で「ZEB認証」を取得:ZEB
大林組は、CO2の固定化効果がある木造の仮設現場事務所で、ZEB認証を取得した。さらに、グリーン水素の活用や施工中の脱炭素施策の実証を通じて、CO2排出量の大幅削減を目指す。
大林組は2023年1月24日、CO2の固定化効果がある木造の仮設現場事務所で日本初となるZEB認証(netZEB)を取得したと明らかにした。
自社製造のグリーン水素活用や施工中の脱炭素施策と合わせ、CO2排出量を大幅削減
大林組は、温室効果ガス排出削減目標として、施工中の排出を含むScope1+2で、2030年度までに2019年度比46.2%の削減を掲げており、2022年10月にSBT(Science Based Targets)認定を取得した。
今般、その目標に向けた取り組みとして、水素のリーディングカンパニーであり、脱炭素社会の実現に取り組む、岩谷産業が発注した神戸市の「研修施設計画」の建設現場でCO2排出量削減に資する各施策の実証を実施する。
第一弾は、建設現場で必要となる仮設現場事務所を、従来の軽量鉄骨造からCO2を固定化できる木造とすることを決めた。その過程で大林組は、仮設現場事務所に木材を取り入れるため、西尾レントオール協力のもと、国産木材部品を「Kibaco(キバコ)」の名称でユニット化。ユニットハウスとしては、大きい7.2メートル間を木造無柱で施工した。なお、大林組に提供したKibacoは、西尾レントオールを介し、木造の仮設現場事務所としてレンタルまたは販売している。
事務所は、木造2階建てで、建築面積229.50平方メートル、延べ床面積は396.34平方メートル。太陽光パネルによる創エネルギーと、高断熱や高気密な内装仕様に加え、高効率な設備機器の導入による省エネルギー化で、2022年10月に木造仮設現場事務所としては国内初となるZEB認証を取得。仮設工事事務所をZEB化したことで、約1万5000CO2キロの削減効果が図れるため、工事全体の電力消費によるCO2排出量の約2割に相当する。
また、事務所や太陽光パネルは、使用後には他の現場へ転用も計画している。
グリーン水素などの次世代エネルギーの採用では、事務所にパナソニック製の水素燃料電池を設置。大林組が大分県玖珠郡九重町で製造するグリーン水素と、岩谷産業が製造する水素を利用して電力供給を行う。
さらに、施工中の脱炭素に向けた取り組みでは、アセチレンに比べて、84%のCO2を削減するハイドロカット(溶接ガス)の採用、軽油に比べて8%程度CO2削減が見込めるGTL燃料を建設機械の燃料に用いた。他にも、フォークリフトの電動化やスマートメーターによる使用した燃料/電力使用量の正確な把握も実施した。
今後、大林組は、建設時のCO2排出量の削減は、Scope1+2のみならず、発注者のScope3への貢献につながるとして、実証を通じて得られる知見を他現場にも展開し、2030年の温室効果ガス排出削減目標の達成を目指していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 『ZEB』認証を取得した4階建て中規模オフィスビルのZEB関連技術実証棟が竣工、三菱電機
三菱電機は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた活動の一環として国内で需要拡大が見込まれるZEBに対応する省エネ技術の研究と実証実験が行える場として、ZEB関連技術実証棟「SUSTIE」を開設した。 - 隈研吾建築都市設計事務所が手掛ける初のZEB建築、伊丹市新庁舎と仮設作業所でZEB Ready取得
隈研吾建築都市設計事務所が基本設計を担当し、大成建設が実施設計から施工までを一括で担う伊丹市の新庁舎新築工事で、国内初となる本設建物の庁舎と仮設作業所の両方でZEB Ready認証を取得した。延べ床面積2万平方メートルを超える大規模建築の庁舎としては、西日本初のZEB Ready認証を受けたケースにもなるという。 - 大成建設が既存建築物の改修工事で「リニューアルZEB」を積極提案
大成建設は、既存建築物の改修時にZEB化する「リニューアルZEB」で、カーボンニュートラルに向けた取り組みの一環と位置付け、省エネと創エネの技術開発と提案を強力に押し進めている。 - 奥村組が自社施設をZEB化、1次エネルギー消費量を基準ビルに対して76%削減
奥村組は、同社技術研究所管理棟のZEB化や環境イニシアチブが公募する認定「ZEBリーディング・オーナー」を取得するなどZEBの展開を本格化している。