LTE搭載屋外向けクラウド録画カメラにエッジAI実装 人物を検出/カウント:製品動向
セーフィーは電源のみで設置可能なLTE搭載の屋外向けクラウド録画カメラに、人物検出/人数カウント機能を備えた新モデルを追加する。建設現場全体の進捗管理や稼働人数の最適化、公共空間の交通量調査などに活用できる。
セーフィーは2024年2月13日、電源のみで設置可能なLTE搭載の屋外クラウド録画カメラ「Safie GO(セーフィー ゴー)」シリーズに、人物検出/人数カウント機能を備えた新モデル「Safie GO PTZ(セーフィー ゴー ピーティーゼット)AI」を追加すると発表した。ピンポイントの撮影とエッジAIにより、屋外の現場状況を可視化、定量化する。2024年3月上旬の提供開始を予定している。
i-PROと共同開発した特別仕様、AI搭載で機能強化
Safie GO PTZシリーズは、確認したい場所をパンチルトズーム(PTZ)機能でピンポイントに撮影して、クラウドに保存できる防犯/監視カメラ。敷地面積が広く隅々まで目を配る必要のある大規模な現場でも、遠隔から工程表に合わせた撮影画角の変更や、数十メートル先の状況をフォーカスして把握することなどが可能だ。
新モデルのSafie GO PTZ AIは、セーフィー特別仕様のカメラとして、i-PRO(アイプロ)と共同開発した。エッジAIを新たに備え、「人物検知」や「AI-App(アイアップ)人数カウント」による立ち入りの検知、また、通過人数や立ち入り人数のカウントもできる。
実証で有効性を確認、建設現場や公共空間での交通量調査などで活用できる
使用場面としては、建設現場全体の監視の他、駅前などの公共空間での交通量調査、店舗前通路での歩行者の動向把握などを想定している。新モデルを活用することで、建設現場では特定エリアに人物が侵入したことを検知して、資材の盗難防止や安全管理に役立てられる。公共空間ではカメラ映像内の往来人数を計測することで、対象エリアの人の流れを定量的に把握し、イベント企画やまちづくりの検討などで活用できる。
新製品の提供に先立ち、清水建設、久米設計と連携し、建設現場とにぎわい創出イベントで、Safie GO PTZ AIの効果を検証する実証実験を行った。
清水建設の東京外環自動車道「京葉ジャンクションGランプ工事」では、2023年9月26日〜10月13日にかけて、現場作業員の対象エリア内での稼働状況をカメラ映像から定量的に計測することで、現場作業の進捗と効率性を把握した。Safie GO PTZ AIの通過人数カウント機能や立ち入りカウント機能を活用することで、現場内の各対象エリアでの作業員の稼働状況を把握し、より正確な傾向値を得ることができたという。
また、久米設計による公共空間利活用の社会実験「ゴタンダデシタンダ!!」(にぎわい創出イベント)においては、Safie GO PTZ AIの立ち入りカウント機能により、これまで目視で確認していた来場者の動向を長期間にわたり定量化し、「にぎわい」創出の効果を数値で把握できた。
セーフィーとi-PROは2022年12月、共同開発第1弾としてSafie GO PTZ Plusの提供を開始した。今回発表したモデルはこれに続く第2弾となる。両社は今後も、ユーザーのさらなるニーズに応えられる屋外対応カメラを提供する考えだ。
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