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ニューマチックケーソン工法の沈設を3D管理する戸田建設の「ニューマプラス」:スマートコンストラクション
戸田建設は、“ニューマチックケーソン工法”の沈設を3Dで管理する「ニューマプラス」を開発した。
戸田建設は2023年7月27日、地下水位のある深い地盤で気中掘削を可能にする“ニューマチックケーソン工法”で、工期短縮と品質向上を目的にした新システム「ニューマプラス」を開発したと公表した。
掘削深度に関わらず15〜30分ほどで開口率の算出が可能に
ニューマチックケーソン工法の開口率算出は、作業室に人が入り、検尺テープで測量するが、掘削深度が深くなるにつれて開口率の取得に時間を要する。近年では、開口率の測量に3Dレーザーを適用するケースもあるが、ケーソンの函内は高さ2.3〜2.5メートルしかなく、その内部はショベルや掘削仮置土などが混在するため、函内の重機類がレーザー照射の障壁となるなどの問題があった。
戸田建設が開発した技術は、ケーソン内の対象土を函内カメラで撮影後、地上の遠隔操作室に映像データを転送し、画像解析で3Dデータ生成から、図面化、開口率の算出までを行う。カメラはケーソンの規模や掘削機の配置状況により、配列や台数を変更して函内の天井に固定し、沈設完了までデータを取り続ける。
また、3Dデータの図面化にあたり、精度の高い座標値を与える必要があるため、撮影範囲内に3次元座標(x,y,z)が付与されたQRコードを投影し、座標値を精緻に補正する仕組みを考案した。
実証実験では、天井に取り付けた函内監視のカメラで掘残し、土を撮影。撮影した映像データを地上の遠隔操作室に転送し、画像処理ソフトで4分の1の軸対象となる3Dデータを生成した。
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