オープン化で次世代の「ビルOS」構築 パナソニックと福岡地所が実証実験:スマートビル(3/3 ページ)
パナソニック エレクトリックワークス社と福岡地所は、福岡市内で「次世代オープンビルプラットフォーム(ビルOS)」の実証実験を行っている。ビルOSを活用して管理スタッフの位置情報データAPIを生成。このデータをもとに業務管理アプリを開発して有効性を検証する。建物内の設備や人などの情報を統一的なAPIにより外部に提供する、新たな建物モデルの構築を進める。
まずは清掃/設備管理スタッフとエレベーターの位置情報を取得
まずは現状調査として、清掃スタッフと設備管理スタッフを対象に、建物内での位置情報取得を進めている。スタッフが持つビーコンから発信される信号をゲートウェイが受信し、クラウドに、管理スタッフの所在地(フロア情報)を蓄積。このデータを利用してスタッフの動線を可視化する。今回の実証実験ではエレベーターのフロア情報も取得する。データはオープンAPIとして提供し、新たなアプリケーションやサービスの開発につなげる。
取得したデータをもとにエレベーターの稼働状況を分析したヒートマップを見ると、月曜日の午前中の稼働率が最も高い。一方で、同じ午前中でも金曜日はあまり利用されていないなど、利用状況にばらつきがあることが分かる。
福田氏は分析結果の利用方法について「稼働状況を平準化していくことで待ち時間を減らすといった、運用改善のアウトプットを示していけるのではないかと考えている」と述べた。
取得するデータの範囲とエリアの拡大を見込む
今後の展望について福田氏は「大きく2つを検討している」と話した。1点目は、取得する人のデータの対象範囲と適用するエリアの拡大だ。実証実験では建物管理のスタッフのみの位置情報を取得しているが、その範囲をテナントの従業員や出入り業者にも広げる。さらに、現在検証している運用コストの削減だけでなく、建物自体の魅力を向上させる取り組みも検討する。再開発が進む周辺エリアにも展開し、エリア全体の魅力向上につなげていく。
2点目が、パートナーシップの拡大だ。現在、パナソニックと福岡地所の2社間での取り組みを進めているが、両社は建物内で得られるデータを直接利用する立場にはない。建物データを利用することで課題解決につなげられる事業者と連携し、ソリューション、アイデアを具体化していく考えを示した。
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