「星空保護区」でアジア初認定 南六呂師の「日本一美しい星空」を支えるパナソニックの照明技術:LED(1/3 ページ)
福井県大野市の南六呂師エリアが2023年8月に、ダークスカイが定める「星空保護区」のアーバン・ナイトスカイプレイス部門で認定を受けた。取得に際して、光害に対する厳しい規定をクリアしなければならず、エリアの街路灯を全て交換したパナソニック エレクトリックワークス社は、空に光が広がらない屋外灯の技術で貢献した。
福井県大野市は、県の東部に位置し、周囲を森林に囲まれた自然豊かな街だ。市の北側中央にある南六呂師(みなみろくろし)エリアが、「ダークスカイ(旧:国際ダークスカイ協会)」が2001年から行っている「ダークスカイプレイス・プログラム(別名:星空保護区認定制度)」で認定を受けた。今回、取得したのは「アーバン・ナイトスカイプレイス」部門の認定だ。
ダークスカイプレイス・プログラムは、光害の影響がない自然の夜空を保護する取り組みをたたえて評価する制度。認定プログラムは、場所や対象、目的で6つのカテゴリーから成る。大野市が南六呂師エリアで認定を得たアーバン・ナイトスカイプレイスは、近隣に大きな都市がある(=人が来やすい)場所を対象とするもので、星空保護区の中では最も新しいカテゴリーだ。
「日本一美しい星空」に2年連続で選定された大野市
大野市は、市内に北陸最大級の天体望遠鏡を擁する「福井県自然保護センター」を運営している。環境省の「全国星空継続観察」では、2004年と2005年の2年連続で「日本一美しい星空」にも選出されている。
大野市での星空保護は、2017年ごろから芽生え始めている。当時、福井県は、六呂師エリアを観光地として整備すべく、都市論を研究している現福井工業大学 工学部 建築土木工学科 教授 下川勇氏に相談を持ち掛けた。下川氏は、都市論の思考方法を「その場所の地形や特性を分析した上で、計画に結び付けていく」と説明する。
下川教授によると、県が提示した整備計画は自然豊かな場所にコンクリートを打ち込むようなものだったという。このため、下川教授は計画に反対。それ以降、福井県と大野市による検討会に下川教授も参加するようになった。そして、この会で六呂師を自然と人間が共存できるような環境の場所にすべきという方向性が定められた。
2018年の大野市と福井工業大学の相互連携協定締結、星空ハンモック社会実験、2019年の星空保護区認定の可能性調査を経て、2021年に星空保護区への申請チームを編成した。下川教授をはじめとする関係者の熱意ある働きによって、少ない準備期間にもかかわらず、2023年8月21日に認定取得に成功した。
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