清水建設、鉄骨梁の側面を薄肉化 鉄骨量を3割縮減する補剛工法:新工法
清水建設は鉄骨造建物の鉄骨梁のウェブ(側面部分)を薄肉化して鉄骨量の縮減を図る補剛工法「エコウェブ工法」を開発した。既開発を含めた全5工法をシリーズ化し、鉄骨造建物の梁部材で最適化を図る。
清水建設は2023年11月30日、鉄骨造建物の鉄骨梁(てっこつばり)のウェブ(側面部分)を薄肉化して、鉄骨量の縮減を図る補剛工法「エコウェブ工法」を開発したと発表した。新工法は、鉄骨梁ウェブの端部に板状のスチフナを溶接して補剛し、梁の変形性能を維持しながらもウェブを薄肉化することで、コストダウンを実現する。第三者認定の建築技術性能証明を取得し、一般的な確認申請で審査される全建物に適用できる。
鉄骨梁の鉄骨量を梁単体で最大30%縮減
鉄骨造の建物に使用する鉄骨梁の大半は、端部から中央部まで全断面が同形状であるため、中央部などでは求められる耐力以上の性能を有していることが多い。特に超高層ビルなどの大規模建築物では、鉄骨中央部の合理化が求められていた。
エコウェブ工法では、鉄骨梁のウェブ部分の両端部に、板状のスチフナを柱梁の生産工場で溶接し、地震時に応力が集中する梁端部のみを部分的に補剛する。そのため、梁全体の要求耐力と変形性能が確保される。従来は、梁ウェブ全体を厚くすることで梁の要求耐力や変形性能を確保していたが、スチフナを対象建物の梁断面形状や梁の長さに応じて、梁両端部の梁材軸方向に並行して数カ所に溶接することで、鉄骨梁の合理化が見込める。従来工法比で、鉄骨梁の鉄骨量を梁単体で最大30%縮減し、コストダウンにつながる
エコウェブ工法の実用化に伴い、既開発の構造部材合理化工法4工法を含む全5工法を総称し、「シミズSTreamLine(ストリームライン)」としてシリーズ化した。4工法は、鉄骨梁の梁端接合部のフランジ両側に台形状の鋼製プレートを溶接し、梁端(りょうたん)部の耐力と変形性能を向上させて鉄骨量を縮減する「サイドプレート工法」、対象梁上部の床スラブを鉄骨梁の座屈耐力計算に算入して補剛材を不要にする鉄骨梁横座屈補剛工法「HOGO(ホゴー)補剛レス工法」、梁側面の配管用貫通孔に鋼製リングをはめ込んで鉄骨量の縮減を図る「EGリング工法」、建物設計時の構造計算による必要性能の確認により梁貫通孔(はりかんつうこう)の鋼製リングを省略させる梁貫通孔無補強工法「リングレス工法」で、いずれも鉄骨造建物の梁部材で最適化につながる。
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