BIMモデル内をゲームパッドで自由に動き回る、ダイスネクストの「Paraverse」:BIM
ダイスネクストとAREA35は、Revitで操作が要らない、ゲームパッドだけでBIMモデル内のアバターを動かして設計プランの確認や指摘事項を共有できるBIMビジュアライゼーションソフト「Paraverse」を開発した。ゲームエンジンのUnreal Engineをベースにしているため、BIMモデルは鮮明な質感で表示される。
ダイスネクストとAREA35(エリア35)は2024年1月25日、BIMを誰でもカンタンに操作できる「Paraverse(パラバース)」の提供を開始した。Paraverseは、RevitやBIM 360などのBIMツールによる操作に依存せず、BIMモデル内にアバターで入り、設計プランの確認や指摘事項の共有が可能になるBIMビジュアライゼーションソフト。
複数人の同時操作や日影シミュレーションの機能も搭載
一般的なBIMソフトを操作する際、マウスやキーボードで複雑な操作が必要だが、ParaverseはPCだけでなく、ベンダー推奨のXbox ワイヤレス コントローラーなどのゲームコントローラーでも、BIMモデル内のキャラクター(アバター)を直感的に操作できる。コントローラーのスティックを動かし、アバターやカメラを操作して、自分の見たい部分へアクセスする。ボタンごとの機能も画面内に表示しているので、事前知識が無くても多様な機能を使える。
BIMモデルの表示には、ゲームエンジンの「Unreal Engine」を用いているため、鮮明な質感で3Dの建築物としてリアル感があり、設計プランの具体的なイメージをつかみやすい。動作自体も滑らかで、操作にストレスがない。
主な用途としては、建築時の営業ツールに使える他、ステークホルダーとの合意形成の高速化にもつながる。例えば、提案時の施主へのデモンストレーションによる具体的なイメージの確認、設計時の施工主からの指摘内容をメンバー内に共有し、修正内容を反映した後に合意形成を図るなど、幅広い用途での活用が見込まれる。
マルチプレイによる複数人の同時操作にも対応し、工事管理者や設計監理、発注者などでも自由にデータ内を閲覧できるので、よりスピーディーなチェックが実現する。
日時を指定した日影シミュレーション機能も備え、建物内への太陽光の入り方や建物周辺への影の影響が視覚的に分かる。緯度や経度の情報をインプットすれば、地域ごとの日影も検討できる。
コメント(指摘事項)の機能は、Paraverseに残したコメントをステークホルダーと共有。さまざまな立場の人が協力してチェックし、チーム全体で分かち合うことで、効率的な意思決定やコミュニケーションにつながる。コメントはリストで管理し、コメントを追加した場所へジャンプできる。
ParaverseのPC推奨スペックは、OSがWindows 10/11、GPUはGeForce RTX 3080以上、SSDはNVMe PCIe 4.0/5.0。販売は、ダイスネクストを介して提供する。
ダイスネクストとAREA35はサービス開始の背景について、国土交通省が定める「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン」で、発注者が建築生産プロセスで生じる発注者としての業務(要求項目の設定や各種仕様の決定、確認など)の効率化を目的に、BIM活用が求められると記載されており、「工事管理者と発注者が共に、BIM上で仕様の確認をする場面が今後、増えることが想定されるため」と理由を説明する。
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