西松建設が山岳トンネル工事の無人化実現に向けた研究開発拠点を開設:スマートコンストラクション
西松建設は山岳トンネル技術の研究開発拠点「N-フィールド」(栃木県那須塩原市)の運用を開始した。2027年度の実用化を目指している、重機の遠隔操作/自動化技術を組み合わせた施工システム「Tunnel RemOS(トンネルリモス)」関連技術の開発を加速する。
西松建設は2023年11月29日、栃木県那須塩原市で、山岳トンネル技術の研究開発拠点「N-フィールド」の運用を開始したと発表した。N-フィールドには実物大規模の模擬トンネルや遠隔操作室を整備し、これらを活用して山岳トンネル工事用重機の複数同時での遠隔制御や、自動化、自律化に関する開発を加速する。設備は研修などにも利用し、社内の技術力向上にも役立てる。
重機の遠隔操作/自動化技術を組み合わせた施工システムを実用化へ
西松建設では山岳トンネル工事における切羽作業の無人化に向けて、2027年度の実用化を目指し、重機の遠隔操作/自動化技術を組み合わせた施工システム「Tunnel RemOS(トンネルリモス)」の開発を推進している。運用を開始したN-フィールドを、Tunnel RemOSの試行、実験フィールドと位置付けており、全国の山岳トンネル現場での試行実験と並行して、技術開発を進める。
N-フィールドでは現在、コンクリート吹付け作業の遠隔操作や自動化に向けた検証、油圧ショベルによる自律運転などの技術開発を展開している。さらに、各種展示会において、遠隔操作システムの体験デモなども行っている。
今後、遠隔操作重機の配備を拡充するとともに、複数の重機を遠隔操作で同時制御するシステムを構築する。また、吹付け機や油圧ショベルに加え、ホイールローダなどにも対象機種を拡大し、トンネル掘削作業の完全無人化実現を目指す。
N-フィールドの敷地面積は524平方メートル。模擬トンネルは断面約66平方メートルで、幅11メートル×高さ7メートル×延長47メートル。遠隔操作室にはコクピット2台、簡易操作ユニット1台を備える。遠隔操作通信には長距離無線LAN、小電力無線、Wi-Fiを利用する。外部通信設備として有線通信(光回線)と衛星通信(Starlink:スターリンク)を設置。2023年11月現在使用している遠隔操作重機は、油圧ショベル(0.45立方メートル)、エレクター一体型吹付機、計測台車。
社内研修の場としても活用
N-フィールドは、山岳トンネル施工技術の向上と伝承のための社内研修の場としても活用する。品質管理、出来形管理などの施工管理能力の向上につながる研修を充実させるとともに、山岳トンネル以外の技術開発も促進する。
さらに「スマート現場」の実現に向けて、幅広い業界の企業や研究機関との共同実験、AI/IoTをはじめとするDX技術のテストフィールドとして提供する。
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