「建築BIM加速化事業」2023年度補正で60億円計上 小規模や改修も対象に:BIM
2023年度補正予算の成立を受け、60億円を計上した「建築BIM加速化事業」が2024年以降も継続することが決まった。階数や面積の要件を廃止し、小規模プロジェクトに加え、改修工事も対象となった。
国土交通省が令和4(2022)年度第2次補正予算で創設した「建築BIM加速化事業」が、令和5(2023)年度補正予算の成立を受け、60億円の規模で継続されることが決まった。
階数や面積の要件廃止で小規模や改修も対象に
2023年12月6日に開催した建築BIM環境整備部会で明らかになった今後のスケジュールは、事業者向け説明会を2023年12月中に開催。代表事業者の登録を2024年1月中に開始し、BIMモデル作成に要する経費を対象とした補助金の交付申請は同年4月から受け付ける。
建築BIM加速化事業は、中小事業者が建築BIMを活用する建築プロジェクトで、建築BIMモデル作成費を上限に支援することで、建築BIMの社会実装のさらなる加速化を図るのが狙い。2022年度の第2次補正予算では80億円を計上し、2023年12月18日時点で交付申請額は全体の61.1%に相当する48億9100万円となっている。
対象者は民間事業者などで設計者または施工者で、協力事業者(下請事業者)だけでなく、代表となる意匠設計事務所やゼネコンなどの元請事業者の経費も補助される。対象プロジェクトは、建築BIMを活用し、既存建築物を含む一定要件を満たす建築物を整備する案件の設計費や建設工事費に補助金を支給する。設計費は設計BIMモデル作成費、建設工事費は施工BIMモデル作成費を上限としている。
補助額は延べ床面積に応じ、1万平方メートル未満は設計費250万円/建設工事費4000万円。1万〜3万平方メートル未満は設計費3000万円/建設工事費5000万円、3万平方メートル以上は設計費3500万円/建設工事費5500万円。
建築物の要件は、耐火/準耐火建築物、省エネ基準適合、公共的通路の整備、原則として土砂災害特別警戒区域外。今回の2023年度補正では他の要件を見直し、3階以上の階数要件や延べ1000平方メートル以上の面積要件を廃止し、小規模なプロジェクトにも範囲を広げるとともに、改修プロジェクトも対象とした。大規模の新築プロジェクトは、業務の効率化または高度化に資するBIM活用を要件としている。
BIMモデル作成費で想定されているのは、BIMライセンス費として、BIMソフトウェア利用費(ビュワーソフト、アドオンソフトの利用費、BIMモデルを利用するためのPC/タブレット/ARゴーグルなど周辺機器のリース費を含む)、設計・施工情報を共有し、受け渡すためのクラウド環境となるCDE(共通データ環境)構築費/利用料。BIMコーディネーター費は、BIMコーディネーターやBIMマネジャーの人件費/委託費、BIM講習に要する諸経費。BIMモデラー費は、BIMマネジャーをサポートするBIMモデラーへの委託費とそれぞれ定められている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- デジタルツイン:日建設計とデンソーウェーブ、リアルタイム人流計測システムを開発 時系列を加えた4Dデジタルツインへ
日建設計とデンソーウェーブは、3D-LiDARを用いたリアルタイム人流計測システムを共同開発した。賑わい創出に向けた都市空間の評価や設備の省エネ制御、災害時の避難誘導などに活用する。 - ドローン:屋内ドローン自律飛行を可能にする「BIM×Drone」専用機体を開発、アクティオら3社
アクティオは、竹中工務店やセンシンロボティクスとともに開発してきた、ドローンの屋内自律飛行システム「BIM×Drone」の専用機体を使用した技術検証サービスをスタートさせた。 - BIM:iPadで室内撮影するだけでBIMモデルを自動生成するスターツの「Re:BIM」
スターツアセットマネジメントは、賃貸住宅の退去修繕やリフォームに特化し、クラウド上で現場調査〜図面作成〜見積もり〜維持管理までが一気通貫で完結するBIMサービス「Re:BIM」をリリースした。 - メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023:阪大院 矢吹教授が解説 BIMが当たり前と考える時代に向け、その本質を知る
国土交通省のBIM/CIM推進委員会委員長を務める大阪大学大学院 工学研究科 教授 矢吹信喜氏が「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023」の事前防災/減災のための国土強靭化推進セミナーに登壇。日本のBIM/CIM活用の現状の課題を整理し、その本質を実現するために、何が必要かを解説した。 - 第8回 JAPAN BUILD TOKYO:日建設計のスマートビル最新研究を一挙公開 デジタルでつなぐ人と建築
日建設計は、3D-LiDARによる人流計測やBIMモデル上でのIoTセンサー設置検討など、デジタル技術で人の動きと建築設計をつなぎ、スマートビル実現に向けた独自の試みを始めている。 - 「守りのDX」と「攻めのDX」:大和ハウスDX戦略の全体像2023年版 設計BIM100%で「導入期」から「活用期」へ
大和ハウス工業は、2022年度から5カ年度の中期経営計画で、守りのDXで持続的成長モデルの構築を掲げている。その中核を成すBIMは、既に設計で全件BIM化を達成し、これまでの導入期から、共通データ環境に蓄積するBIMデータを建材データベースやxRなどで、いかに利活用するかの活用期へと移行している。