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スペースXの通信設備とホンダのバッテリーを搭載した「カート」を鹿島が開発:BCP
鹿島建設は、災害時や平常時にも、電力供給や通信環境を提供するカートを開発した。排気ガスが生じないポータブル電源を内蔵し、衛星インターネット通信の受送信設備も備えている。
鹿島建設は2023年11月30日、平常時や災害時に、電力供給や通信を可能とするカートを開発したと発表した。
「平常時」も「災害時」も活用できるカート
カートには、本田技研工業が開発した着脱バッテリー式ポータブル電源「Honda Power Pod e:」のプロトタイプを内蔵。一般的な発電機と異なり、電源使用時に排気ガスが発生しない。災害時に非常用電源として利用可能で、平常時にも電源がない場所でのポータブル電源として屋内外問わず使える。
さらに、衛星インターネットアクセスサービスを利用できるスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)の受送信設備を搭載。災害発生で通信インフラが停止した際、通信手段としても利用できる。カート前面には、12.9インチのタブレットを装着できる他、大型モニターを接続することで、大画面での情報表示にも対応する。
カートの寸法は70×100×95センチで、台車に荷物を載せ、一般的なエレベーターにも搬入できる。ブレーキ付きの車輪も備え、可搬性に優れる。公園や学校といった公共施設をはじめ、平常時には電源設備の無い屋外マルシェなどのイベント、災害時には避難受入施設となる大型施設での活躍が見込まれる。
鹿島建設は、東京都港区赤坂地域の「地域を主体とするスマート東京先進事例創出事業」の一環でカートを開発。今後は、機能のさらなる向上を図り、赤坂以外の地域での街づくりにも活用していく。
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