iPadで室内撮影するだけでBIMモデルを自動生成するスターツの「Re:BIM」:BIM
スターツアセットマネジメントは、賃貸住宅の退去修繕やリフォームに特化し、クラウド上で現場調査〜図面作成〜見積もり〜維持管理までが一気通貫で完結するBIMサービス「Re:BIM」をリリースした。
スターツアセットマネジメントは、スターツグループが取り組むBIM活用の「BIM-FM Platform」構想の一環で、賃貸住宅の退去修繕やリフォームを飛躍的に効率化するクラウド型BIMサービス「Re:BIM(リービム)」を2023年10月末にリリースした。Re:BIMは、既存建物の有効利用で手間のかかる空家や空室の現地調査で、タブレット端末を使って内装を撮影するだけでBIMモデルを自動生成し、リフォームプランや改修工事見積もりも出力する。
LiDARアプリで室内スキャンするだけで簡易BIMモデルを生成
Re:BIMは、iPad PRO用(LiDAR搭載の第3世代以降)の独自開発LiDARアプリを使用して、既存建物の室内をスキャンし、その結果をクラウド上で簡易BIMモデルを自動生成する。簡易BIMモデルを活用することで、賃貸住宅の退去修繕やリフォームに必要な仕様情報をBIMモデル内の部材に付与できる。
Re:BIMを用いることで、建物の修繕業務での現場調査や既存図の作成、見積書作成の効率化がもたらされる。一度でも簡易BIMモデルを作成すれば、クラウド上で複成や流用して、何度でも簡便に正確な仕上げ面積や部材数量で修繕計画を立てられる。
退去修繕業務を想定した実証実験をもとに分析した効率性の結果として、従来は複数人が関わり1週間程度かかっていた退去修繕やリフォームの現場調査〜既存図作成〜見積もり作成に要する時間(1時間強)が、Re:BIMでは30分程度に短縮される。そのため、退去修繕とリフォームに関連する一連の業務時間は、従来よりも約63%削減されるという。
また、不動産管理の現場ユーザーができる限り感覚的に操作できるように設計されており、簡易BIMモデルの入力や活用を補助するさまざまな機能を実装している。
Re:BIM事業は、国土交通省が公募した2022(令和4)年度住宅生産技術イノベーション促進事業に選定されている。
今後は、スターツグループが取り組むBIM-FM Platformの新サービスとして、継続的なアップデートを図っていくとともに、スターツグループ内での活用にとどまらず、不動産管理会社、REIT運用会社、不動産オーナー企業などへの販売も視野に入れている。
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