デルタ電子が2024年に国内展開 AI搭載の監視カメラで可能になる属性検索の“ディープサーチ”:ビルセキュリティ(2/2 ページ)
デルタ電子は、2017年にデルタグループに加わったVIVOTEKが開発したクラウド型監視カメラサービス「VORTEX」を2024年1月に日本での販売を開始する予定だ。一般的なクラウド型カメラの機能性に加え、カメラ本体とクラウドの連携で、指定したターゲットの検出や追跡が実現する。
検出機能は、VORTEXで対象カメラを選び、画面上で操作することで簡単に設定可能だ。例えば画面上にマウスでラインを引いて対象エリアを指定すると、エリア内に人や車両が入ったことが分かる。対象エリアではなくラインだけを設定して、ラインを超えた人や車両でも検出する。
VORTEXでは、侵入者の検出を各カメラが個別に行うため、処理が早く、侵入者をリアルタイムで検出して管理者に通知する。
さらに、検出された人や車両は、カメラ内のAIで処理され、オブジェクトのメタデータとして文字情報に置き換え、データと映像とを紐(ひも)づけてクラウド上に保存する。仮に映像だけの保存では、蓄積された膨大なデータから目的のシーンを探すのは骨が折れる。映像にメタデータで文字による情報が付与されていれば、検索も素早く行える。メタデータはカメラ側で付与するため、クラウドの負荷も軽減できる。
強力な“ディープサーチ”機能で、より細かな検索が可能
クラウドのサーバ上にメタデータとともに記録された各カメラ映像は、強力な検索機能を使って、絞り込みが可能だ。検索機能をVORTEXでは、「ディープサーチ」と呼んでいる。
ディープサーチは、人であれば男性か女性か、大人か子供かといったフィルターで指定。着ている服の色の選別にも応じ、上半身と下半身で別々に指定可能だ。こうしたフィルターによる絞り込みを組み合わせれば、探し出したい人を特定できる。
テーマパークやショッピングセンターといった多くの人が集う場所で迷子(子供)を探す際には、ディープサーチは役立つ。検索対象として子供を選び、さらに性別や服の色を指定して検索することで、迷子の移動履歴や直近の位置を短時間で辿(たど)れる。
VORTEXは、一般的な自動車、トラック、バスの他、オートバイや自転車などの車両種別にも応じているため、駐車場などでの“当て逃げ”対策などでは十分な効果を発揮する。現在は、オートバイと自転車は色検索に未対応だという。
もちろん、こうした追跡機能は、来場者の動線を追うようなマーケティング分析にも使える。VORTEXのソリューションには、防犯とマーケティング分析といった完全に別の目的を同一のシステムで両立できる汎用性を備えている。
今回紹介したVORTEXのクラウド型カメラソリューションは、2024年1月から日本での展開が予定されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “ICSCoE”の育成プログラム修了メンバーが語る、ビルのセキュリティが抱える課題と対策には何が必要か?
ICSCoE(Industrial Cyber Security Center of Excellence:産業サイバーセキュリティセンター)は、IPA(情報処理推進機構)傘下の組織として、社会インフラや産業基盤のサイバーリスクに対応する人材や組織、技術などの創出に取り組んでいる。今回、そのICSCoEの中核人材育成プログラムで、ビルシステムのセキュリティに関して学んだメンバーが講師を交え、BUILT主催の座談会を開催した。2019年6月に経済産業省が公開したガイドラインをベースに、セキュリティ対策がなぜ必要なのか?導入障壁となっているものは何か?などを多面的に論じた座談会の模様を前後編の2回にわたってお届けする。 - 【続・座談会】“ICSCoE”の育成プログラム修了メンバーが再結集!コロナ禍でセキュリティ意識はどう変わったか?
ここ数年、IoTの進化に伴い、ビルや施設に先端設備やデバイスを接続し、複数棟をネットワーク化することで、“スマートビル”実現に向けた遠隔制御や統合管理が大規模ビルを中心に普及しつつある。とくに、新型コロナウイルスの世界的な災禍で生まれた副産物として、あらゆる現場でリモート化/遠隔化が浸透したことが強力な追い風となっている。しかし、あらゆるデバイスが一元的につながるようになった反面、弊害としてサイバー攻撃の侵入口が増えるというリスクも高まった。脅威が迫る今、BUILTでは、ICSCoEの中核人材育成プログラムの修了生で、ビルシステムに関わる業界に属するメンバーを再び招集。前回の座談会から、コロナショックを経て2年が経過した現在、ビルの運用・維持管理を取り巻く環境がどのように変化したか、東京五輪後のニューノーマルを見据えたサイバーセキュリティ対策の方向性はどうあるべきかなどについて、再び意見を交わす場を設けた。 - トンネルの出来形測定と作業監視を遠隔操作で行えるUGVを開発、大林組
大林組は、トンネルの掘削面や吹付けコンクリート面の出来形測定と作業の監視を遠隔操作で行える「出来形・監視UGV」を開発した。 - 多忙なビル管理者は、中央監視室を“持ち運ぶ”
ジョンソンコントロールズは、ビルオートメーションシステム「Metasys」シリーズの新バージョンの販売を開始した。ユーザーインタフェースの改善と、セキュリティを強化したのが特徴だ。さらに、PCだけでなく、スマートフォンやタブレット端末からでも、中央監視室と同様の作業を行えるようにするなど、作業者の利便性を高める改善を多数加えた。 - 独自センサーで道路橋を24時間監視するサービスをリリース、パスコ
パスコは、道路橋の監視に有効なIoT技術を用いたセンサーとセンサーを活用したIoTインフラ遠隔監視サービス「Infra Eye(インフラアイ)」を開発した。Infra Eyeは、センサーのレンタル・メンテナンス、データ通信・データ閲覧サービスを含めた定額制サービスとして、2023年4月に提供を開始する見通しだ。 - 【続・座談会】ビルシステムのセキュリティ導入を阻む“コストの壁”をどう乗り越えるか?解決に導く3つのアプローチ
本座談会では、ICSCoEの中核人材育成プログラムの修了生で、ビルシステムに関わる業界に属するメンバーに再集結を呼びかけ、BUILT主催の座談会から2年が経過した今、コロナショックを経た足元の環境変化と、東京五輪後のセキュリティ対策で必要な方策などについて議論してもらった。後編では、対策にあたって立ちはだかるコストの壁をどう乗り越えていくか、「脅威」「規制」「インセンティブ」の3つのアプローチで、各参加者がそれぞれの立場から解決の道を探った。