独自センサーで道路橋を24時間監視するサービスをリリース、パスコ:点検
パスコは、道路橋の監視に有効なIoT技術を用いたセンサーとセンサーを活用したIoTインフラ遠隔監視サービス「Infra Eye(インフラアイ)」を開発した。Infra Eyeは、センサーのレンタル・メンテナンス、データ通信・データ閲覧サービスを含めた定額制サービスとして、2023年4月に提供を開始する見通しだ。
パスコは、道路橋の監視に有効なIoT技術を用いたセンサーとセンサーを活用したIoTインフラ遠隔監視サービス「Infra Eye(インフラアイ)」を開発したことを2022年7月13日に発表した。
使用するセンサーは400グラムで電池駆動により約5年間交換不要
高度経済成長期に整備された道路橋やトンネル、河川、上下水道、港湾といったインフラは老朽化が危惧されており、インフラの老朽化対策は社会課題の1つで、有効な維持管理と更新が求められている。とくに、インフラの中でも道路橋は約73万橋あり、全体の約55%が2030年3月には建設後50年以上経過する見込みだ。
こういった状況を踏まえて、政府は、道路橋の安全を確保するために、道路管理者に5年に1度の法定点検だけでなく、目視などによる巡回監視も徹底させている。2019年2月には、道路橋定期点検要領に「監視(モニタリング)」が設けられた。しかし、職員不足が深刻化している他、管理区域が広く巡回の移動時間や負担が大きい。
そこで、パスコはInfra Eyeを開発した。Infra Eyeは、独自開発したセンサーを道路橋の桁端部と橋台をまたぐ形で設置し、24時間にわたり遊間離隔をセンサーで計測・記録する遠隔監視サービスで、計測結果は毎日、インターネットを介して、管理者に提供するとともに、センサーが日常的な変位量を超えた値を感知した際には、自動でメールでユーザーに伝達する。
具体的には、肉眼では分からない遊間離隔の微小な変位と温度を定期的に測定し専用のサーバに蓄積し、顧客はインターネットを介して、計測結果の閲覧が行えるだけでなく、巡回点検の負担軽減や維持管理に携わる職員の省人化に貢献し、日常的な変位量から逸脱した値を計測した際には、自動で顧客にメールを送る。
使用するセンサーは、400グラムの軽量コンパクトな設計で、約5年間交換不要な電池駆動により、電源・配線工事が不要で設置が容易な他、強い雨にも耐えられるIPX6の防水性能を持ち、センサー単体で通信が可能。対象の橋梁(きょうりょう)は、日常点検が十分に行えない橋梁と遠方にあり日常点検が困難な橋梁となる。
さらに、今回のサービスでは、設置するセンサーをレンタル提供とし、初期費用(設置費込み)と定額費用による契約方式を採用する見込みだ。定額費用には、センサーのレンタル料、通信料、センサーの故障修理、メンテンナンス、計測結果が確かめられるWebシステムの利用料をパッケージにする。
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