建設用3Dプリンタの施工で累計100件超 Polyuseの技術が「NETIS」登録:3Dプリンティング
Polyuseの3Dプリンティング技術が、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」い登録された。既に公共工事をはじめ、施工中案件も含めると累計100件の工事で適用されている。
国内の建設用3DプリンタメーカーPolyuse(ポリウス)は、自社開発した建設用3Dプリンタを活用した施工技術が国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS(New Technology Information System)」に登録されたと2023年11月15日に発表した。
Polyuseの3Dプリンティングは公共工事で35件の施工実績
Polyuseの3Dプリンティング技術は、3次元図面データに基づき、モルタルを積層造形し、コンクリート構造物を製造する従来の現場打ちコンクリート工を3Dプリンタで代替する技術。型枠などのコンクリート構造物を製造する上で欠かせない型枠の工程や準備などが不要となり、モルタルの練り混ぜから造形を自動で行うため、省力化や工期短縮につながる。
機器の構成は、プレミックスモルタル粉体と液剤(水または混和材)を混ぜるミキサー、混和したモルタルを無脈動で定量圧送するポンプ、3Dプリンタから成る。プリンタのフレームサイズは、縦横で最大4メートル、高さ最大3メートルで、用途に合わせて大型の部材を構築できる。
2023年11月1日時点で、既に53件の施工実績があり、うち27件が国土交通省の工事で、都道府県や市区町村の施工工事を合わせると公共工事全量で35件となっている。現在進行中の施工案件も含めれば累計100件を超え、土木学会コンクリート委員会によると現時点で国内最多の施工実績を保有している。
施工効果では、作業日数はこれまでの11.5日から3.5日の70%減、作業人工は14.8人/日から7.9人/日の47%にそれぞれ削減されたという。3Dプリンタを扱うノウハウに関しては、3日程度の研修で一連の作業がこなせるようになり、施工現場での属人化の解消も見込める。
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