大和ハウス工業、27年度に戸建て7割の木造化目指す VR活用で提案力強化も:2027年度に販売棟数1万棟(2/2 ページ)
大和ハウス工業は規格住宅や分譲住宅の販売を強化し、2027年度に販売棟数1万棟を目指す。また、CO2排出量削減に向けて木造住宅の建設を加速するとともに、提案力向上と業務効率化を目的にデジタル活用も進める。
規格住宅とセミオーダー住宅を「注文住宅の7割に」
大和ハウス工業は2023年10月、約300プランから選べる規格住宅「スマートセレクション」と、スマートセレクションのプランから好みの間取りに変更できるセミオーダー住宅「スマートデザイン」の展開を開始した。
自由設計と比較した場合、建物本体価格は、規格住宅で14〜18%、セミオーダー住宅で11〜15%低減できるという(2023年10月度の契約実績)。間接経費を抑えた比較的安価な規格住宅の取り扱いを開始したことで、従来ビルダーでの建設を検討していた層の取り込みを狙う。
10月の段階では、注文住宅のうち約1割がスマートデザインとスマートセレクションの受注だったという。「将来的には注文住宅の7割まで引き上げていきたい」(永瀬氏)としている。
ウォークスルー型のVRで間取りを自由に見学
デジタル活用では、過去の契約データ分析に基づいた最適なプランの提案や、定点VRでの空間確認、プレゼンCADを活用し3Dモデルでの内外装や採光のシミュレーションにも取り組む。
さらに、提案中の間取りを自由にウォークスルーできるVRも、2023年12月から全国展開する。
このVRでは、大型モニタなどに映像を投影し、ゲームコントローラーを使って、自由な角度から物件を確認できる。CADデータがあれば数十秒でウォークスルーデータに変換でき、打ち合わせ中でも「インテリアのイメージを変えたい」「間取りを変更したい」などのユーザー要望にその場で対応可能だ。現在は一部事務所で試験的に導入しており、利用者の9割から好意的な反応が寄せられているという。
木造住宅シフトで温室効果ガス削減に寄与 分譲専用木造住宅を発表
カーボンニュートラルへの寄与では、木造化を積極的に推進する。大和ハウス工業のバリューチェーンを通じたCO2排出量のうち、約半数を占める「販売した建物の使用による排出量」は、ZEH率の上昇により減少傾向にある。一方で「購入した資材の製造」による排出量の割合が相対的に増加し、2022年度実績では約3割を占めている。このうち、最も排出量が多い、鉄骨製造段階の排出量を削減するため木造シフトを強化する。
2023年5月に注文住宅向けの木造住宅「xevo Bewood(ジーヴォビーウッド)」を投入し、11月には埼玉県さいたま市の分譲住宅地にモデル棟を竣工した。12月から見学の受け入れを開始する。モデル棟は149平方メートルの敷地に建つ3LDK(延べ99平方メートル)の物件で、太陽光発電システム、リチウムイオン蓄電池も設置。邸別構造計算により実現した幅4間(7280ミリ)の大開口が特徴だ。
さらに、木造比率を増やし、分譲住宅の棟数拡大を図るため、新たに分譲向け木造住宅「Comfort Wood(コンフォート・ウッド)」を投入。2024年に着工する。
Comfort Woodの躯体は一般在来仕様。外観は「シンプルデザイン」と「デコラティブデザイン」の2タイプを用意した。断熱性能は等級5対応(Nearly ZEH、ZEH Oriented仕様)、充填(じゅうてん)断熱を採用。初期保証(構造、防水)は延長なしの30年。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スマート化:ゲーム感覚で理想の家づくり 安心計画の間取り確認アプリ
安心計画は、ゲーム感覚で理想の家づくりをサポートするバーチャル動線チェックのiOSとAndroidに対応した新アプリ「My Room tour」の提供を開始した。 - 産業動向:人生100年時代のライフスタイルに対応 大和ハウスが金利選択型の残価設定型住宅ローンの取り扱いを開始
大和ハウス工業と楽天銀行は、ライフスタイルの変化に柔軟に対応するべく、金利選択型の残価設定型住宅ローンの取り扱いを開始した。 - ZEH:積水ハウスの新築戸建てZEH比率は93%で過去最高、居住時のCO2排出削減量は109万t-CO2
積水ハウスの新築戸建て住宅で、エネルギー消費が実質ゼロのネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の比率が93%となり、2013年の取り組み開始以来で過去最高を更新した。 - スマートハウス:地震による建て替えを保証するパナソニック ホームズの「地震あんしん保証」を10年から35年に延長
パナソニック ホームズは、地震の揺れで万が一建物が全壊や半壊した場合、パナソニックホームズが責任を持って建て替えや補修を保証する「地震あんしん保証」の期間を10年間から最長35年間に拡充する。 - ZEH:ZEH対応の投資用アパート普及拡大へ オリックス銀行が個人投資家に貸付金利0.05%優遇
オリックス銀行は、年間の一次消費エネルギー収支量をゼロ以下にした集合住宅「ZEH-M」の普及に向け、市場の活性化を後押しする。現状では、ほとんどZEH-M化が進んでいない投資用物件に着目し、開発事業者との連携を強化していく姿勢を打ち出した。 - ZEB:大和ハウスが住宅/建設業界で初の「SBTネットゼロ」認定を取得
大和ハウス工業は、2050年までに温室効果ガス排出量のネットゼロ達成などの目標を掲げており、SBTiから「SBTネットゼロ」の認定を取得した。