オリンパスの技術力を受け継ぐ「エビデント」 “産業用胃カメラ”で構造物内部を可視化:メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023(3/3 ページ)
オリンパスの技術力を受け継ぐエビデントは、医療基準で進歩させてきた技術をインフラ構造物の非破壊検査に応用し、工業用ビデオスコープや蛍光X線分析計、超音波の各機能で、多様なニーズに応える非破壊検査機器を展開している。
「EPOCH650」は、多様な用途に対応するポータブルタイプの超音波探傷器。高いUT探傷性能、VGA半透過型モニターによる鮮明な画面、1.68キロの軽量設計や衝撃吸収ダンパによる優れた耐久性などの特徴がある。
「72DL PLUS」は、最高125MHzまでの高周波探触子(超音波の受発信を行うセンサー)に対応し、数十ミクロンからの極薄物も測定できる超音波精密厚さ計だ。多層の塗装、コーティング、プラスチック、金属など、同時に6層まで材料厚を測定し、選択した層の合計厚さと合わせて、リアルタイムに画面表示する。
オリンパスで培った技術をさらに高める挑戦に
こうした製品群から離れた位置では、緑のアーム型ロボットのデモ操作が行われていた。フェーズドアレイ技術と自動検査ソリューションを融合させた「Cobot(協働ロボット)システム」だ。「同じ部品の全数検査から、航空機の構造部品や風力発電設備など数十メートルの大きさに及ぶ大型対象物の検査まで、自動で行えるため、大幅な省力化につながる」だと、ブース担当者は説明した。
今回、エビデントが展示したロボットは、フェーズドアレイ技術と連携させたものだが、検査対象物の材質や形状、寸法、現場環境など、ニーズに合わせて、レーザートラッカーや圧力センサーなど、他の装置との連携も可能だという。
2022年4月1日にオリンパスからの科学事業の継承手続きを終えたエビデント。今後の展望についてブース担当者は、「これまで医療基準で堅実に進歩させてきた技術を、様々な別の技術あるいはパートナーとコラボレーションしながら、新しいことにチャレンジしていきたい。先に紹介した機器とWeb会議システムで現場の遠隔支援につなげるソリューションなど、B2Cの世界では当たり前になりつつIoT。そうした他業種の技術を貪欲に取り込みながら、これまで手がけてこなかった領域にもトライすることが、顧客ニーズに応える製品開発につながるはず」と前を向く。
医療領域で培った堅実な技術が、新たな分野と融合して、どのような新しいソリユーションを生み出すのだろうか。今後もエビデントの商品開発動向に注目したい。
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