オリンパスの技術力を受け継ぐ「エビデント」 “産業用胃カメラ”で構造物内部を可視化:メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023(2/3 ページ)
オリンパスの技術力を受け継ぐエビデントは、医療基準で進歩させてきた技術をインフラ構造物の非破壊検査に応用し、工業用ビデオスコープや蛍光X線分析計、超音波の各機能で、多様なニーズに応える非破壊検査機器を展開している。
その場ですぐに、元素の種類や含有量を分析
「蛍光X線分析計」のカテゴリーでは、ハンドヘルドタイプ(可搬型)の蛍光X線分析計「VANTA」シリーズを紹介。蛍光X線分析計とは、測定対象にX線を照射した際に発生する蛍光X線を読み取ることで、測定対象の成分元素やその含有量を分析する装置を指す。
「VANTA」シリーズは、測定対象に機器の測定面を密着させて、トリガーを引くだけで、測定対象物の成分(元素)の種類や含有量などを分析。合金品種の判定やメッキ厚の測定、土壌中にある有害物質の検出など、複数の分析メソッドを1台の機器でこなせる。
製品担当者は、「通常は試料をラボに持ち帰って成分分析をしているが、微量元素の計測などで詳細が分かる一方、結果が出るまでに時間がかかるデメリットがある。土のように簡単に持ち運べる試料ならば問題はないが、構造物の壁を分析したい場合は、コア抜きが必要で、非破壊での検査は難しかった。VANTAシリーズならば、そうした課題も気にする必要がない。建築/土木では、塗装剥離(はくり)作業時の有害物質調査などに適用されている」と、現場で短時間のうちに分析結果を得られる点が評価されていると話す。
コンクリート内の塩素(Cl)も分析するため、海岸部のコンクリート構造物を対象とした塩害調査のスクリーニングにも活用が見込める。
超音波の力で見えない構造物内部を可視化する4機種
3つ目のカテゴリーは超音波で、4機種を披露した。4機種のうち「OmniScan X3 64」は、対象物の内部を超音波で、断面を画像化する超音波フェーズドアレイ探傷器「OmniScan」シリーズのハイエンドモデル。同時励振素子数が64に増えたことで、厚みのある溶接部や壁材のより深部までを探知する。
「HydroFORM2」は、OmniScanシリーズなどと合わせ、腐食、摩耗、浸食による配管などの減肉状況を2次元カラーマップで表示する、超音波フェーズドアレイ腐食検査用スキャナーだ。両手に収まるコンパクトサイズながら、フェーズドアレイの利点を生かすことで、1ミリピッチで高精度な腐食マッピングが実現する。モーター駆動型スキャナーが自動検査するため、従来は2人体制で行う必要があった検査作業が1人で完遂し、省力化にもつながる。
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