トヨタと鹿島ら産官学で道路DX「スマートロード」の開発着手 雨の交差点で人や車を事前検知:スマートメンテナンス
鹿島建設とトヨタ自動車、NIPPO、東京都市大学、米カリフォルニア大学バークレー校は、光ファイバーセンサーで道路上の自動車や自転車、歩行者などの移動体を追跡し、交通事故の撲滅につなげる道路DX「スマートロード」の開発に乗り出した。
鹿島建設は2023年10月10日、トヨタ自動車、NIPPO、東京都市大学、米カリフォルニア大学バークレー校と共同で、将来の新たなモビリティサービスの提供や自動運転社会の到来を見据え、センシング機能を有する道路「スマートロード」の開発に着手したと発表した。
既に、東京都調布市にある技術研究所敷地内に、光ファイバーセンサーを埋め込んだ試験舗装フィールドを構築し、道路上の歩行者や自転車などの移動体の位置を検知したデータで、自動追跡可能なことを確認した。
見通しの悪い交差点や悪天候下で、歩行者や自転車の振動検知
交通事故の撲滅など安全な社会の実現に向け、カメラやLiDARなどの活用が進められているが、雨や霧などの天候による影響、プライバシーの保護、物陰に隠れた移動体への対応などの課題がある。
その点、光ファイバーセンサーはこうした技術課題を解決し、安全性を高められるだけでなく、圧倒的に広い範囲を面的にセンシングできるのでコスト低減効果も見込める。
そこで、構造解析技術やデータ処理技術を有する東京都市大学 准教授 関屋英彦氏とカリフォルニア大学バークレー校 教授 曽我健一氏、モビリティ技術を有するトヨタ自動車、舗装技術を有するNIPPOの研究チームに、光ファイバーセンサーによるインフラ構造物の計測・評価技術を有する鹿島が加わり、スマートロードの開発に向けた研究体制を構築した。
光ファイバーセンサーは、30キロ以上にも及ぶ距離にわたり、どこに振動やひずみ(伸縮)が発生しているか、その位置と大きさを捉えられる。
今回は、幅10メートル、長さ20メートルの試験フィールドで、5本のセンサーを、それぞれ異なる深さに埋め込んだ。道路に埋め込まれたセンサーには、道路上を移動する歩行者や車両から生じたわずかな振動が伝わるため、振動の伝播(でんぱ)状況を詳細に把握できる。
2022年4月から1年間、外気温など環境条件が変化するなかでデータを蓄積し、歩行者や自転車からの振動データを解析した結果、位置や進行方向を自動で追跡できると証明された。
実証実験を受け、技術を発展させれば、見通しの悪い交差点や悪天候下でも歩行者や車両などをあらかじめ認識する安全性の高いモビリティサービスが可能となるという。
現在は、共同研究先と連携しながら、テストフィールドを活用し、歩行者や自転車の振動データのパターン解析にAI技術を活用し、複数の異なる移動体の識別や追跡技術を開発している。さらに、深さによって異なる振動データを利用して、移動体からセンサーへの振動伝播(でんぱ)を解析する技術を確立し、最適なセンサーの配置や本数などの計画やセンシングに適した舗装に関する技術の検討も進めている。
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