竹中工務店がFc300の超高強度グラウト材を実用化 「ハレミライ千日前」「立命館APhouse5」に適用:施工
竹中工務店は、Fc300の超高強度グラウト材を開発し、「ハレミライ千日前」「立命館アジア太平洋大学APhouse5」に適用した。超高強度の極細柱「ペンカラム」を接合し、構造柱として用いることで、開放的な眺望や大空間が実現する。
竹中工務店は、セメントを用いた流動性の高い接合材料として、Fc300の超高強度グラウト材を開発したと2023年9月に発表した。既に岡山県岡山市表町の劇場ハレミライを含む複合マンション「ハレミライ千日前」と大分県別府市の立命館大学の学生寮「立命館アジア太平洋大学AP House5」の2プロジェクトに適用している。
Fc300の超高強度グラウト材の実用化は、同社によると世界初だという。独自に開発した超高強度の極細柱「ペンカラム」同士を接合し、建物を支える構造柱として活用することで、開放的な眺望や大空間、実際に使える部屋面積の拡大などを実現する。
Fcとは、構造計算で基準とするコンクリートの圧縮強度。Fc300とは、1センチ平方メートルあたり30キロニュートン(約3ton)の圧縮強度を示す。
セメントに新開発の界面活性剤を組み合わせ、高強度と流動性を両立
新開発のグラウト材は、超高強度コンクリートの製造技術を応用し、超高強度セメントに充填性の高い材料および流動性を高める新開発の界面活性剤を組み合わせ、高強度と流動性を両立させた。
超高強度グラウト材の充填(じゅうてん)後の所定強度の発現には加温養生が必要なため、部材寸法などに応じた加温工法を確立し、日本建築総合試験所の建築材料技術性能証明を取得した。3〜7日間程度の加温養生により、確実に強度を発現できる。
ペンカラムは、一般的なコンクリートの約10倍の圧縮強度に当たるFc300の超高強度コンクリートを用いることで、断面積を一般的なコンクリートで作られた柱の約10分の1にした極細柱だ。これまでに、エントランスの庇を支える柱など50本を超える適用実績がある一方、ペンカラムを接合するグラウト材にFc150以上の強度のものがなく、構造柱として使用できないという課題があった。
今回、開発した超高強度グラウト材は、ペンカラムと同じ強度を持つため、柱同士を接合しても接合部が壊れることなく建物を支えられる。ペンカラムを建物の構造柱として活用することで、開放的な眺望や見通しのよい大空間、部屋面積の拡大などを実現できる。
今後は、ペンカラムと超高強度グラウト材を用い、高層階の眺望確保、商業施設や文化施設で、使いやすく開放的な空間の実現や部材の断面低減による省資源化で持続可能な建築の具現化と環境保護に貢献していく。
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