世界初“ガラスつづら折り構造”の芝浦工大「テクノプラザIV」が完成 山代悟教授が意匠設計:プロジェクト
芝浦工大の76もの機器を備え、学生や教職員がものづくりに使える「テクノプラザIV」が豊洲キャンパスで完成した。外壁は、木材のLVLと組み合わせ、ガラスがつづら折りになる「GLCウォール」を新たに開発し、採用している。
芝浦工業大学は2023年10月10日、最先端機器を利用できる共通機器・ものづくりセンターの1つとなる豊洲キャンパスの「テクノプラザIV」が完成したと公表した。
ガラスつづら折り構造「GLCウォール」を開発
豊洲キャンパスの教室棟1階に開設された共通機器・ものづくりセンターは、最先端機器から汎用機器に至るまで多種多様な76の機器を備え、学生や教職員がともに機器を活用して、ものづくりを行う場となる。延べ床面積150平方メートルとなるテクノプラザIVの整備にあたっては、芝浦工業大学 建築学科 教授 山代悟氏と、ビルディングランドスケープが意匠設計を担当した。構造設計は佐藤淳構造設計事務所、照明設計はLPA、施工は戸田建設がそれぞれ手掛けた。
特徴的なガラス構造の建築を設計するにあたり、東京大学大学院 新領域創成科学研究科 准教授 佐藤淳氏に構造設計の協力を依頼し、世界初の構造体となるガラスつづら折り構造「GLCウォール(Glass LVL composite wall)」を開発した。
GLCウォールは、幅1000ミリ、高さ450ミリほどの倍強度ガラスを溝彫した単板積層材(LVL)のブロックで接合し、一段ごとにつづら折りの位相をずらすことで、壁の自重や地震力を各要素の中でやりとりしながら床まで伝える。木のブロックには角度を違えたガラスを差し込む際に加工しやすく、品質のバラつきがなく強度が確保できる木材のLVLを使用。照明は「東京」駅丸の内駅舎など国内外で活躍する照明デザイン会社LPAが担当した。天井を間接照明で照らし、スポットライトをGLCウォールに当てることで、全体を柔らかく輝かせつつ、GLCウォールを際立たせた。床に映し出される影の重なりや木ブロックの浮遊感が魅力となっている。
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