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コベルコ建機がクラウド機器操作「JIZAIPAD」を開発するジザイエと提携 建機の遠隔“自在化”へスマートコンストラクション(1/2 ページ)

コベルコ建機は、ベンチャーキャピタルの15th Rockなどと共同で、遠隔就労のプラットフォーム「JIZAIPAD」を開発するジザイエへの1.5億円の出資を決めた。コベルコ建機は、建機の遠隔操作システムと稼働データを使った「K-DIVE」を提供しており、ジザイエとの業務提携の背景には、建機の遠隔操作に新たなインタフェースを実装する狙いがある。

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 コベルコ建機は、遠隔就労のプラットフォームを開発するスタートアップ企業・ジザイエへの出資と業務提携を2023年5月17日に発表した。

 コベルコ建機は、遠隔操作システムと稼働データを活用した現場改善ソリューションと位置付ける「K-DIVE(ケーダイブ)」のサービスを提供している。

 一方でジザイエは、遠隔地の機械やロボットなどを低遅延かつ高画質で操作するクラウド型の「JIZAIPAD(ジザイパッド)」を開発している。JIZAIPADには“自在化身体技術”を搭載しており、機械やロボットなどを自分の思い通りに操作できる。

 ジザイエへの出資と業務提携は、コベルコ建機にとってはK-DIVEのソリューションを充実させ、ユーザーに対してさらに充実した操作性を向上させる目的がある。ジザイエにとっては資金調達によって、人材採用の強化、開発スピードの加速、JIZAIPADなどを導入する企業へのサポートを拡充するといったメリットを見込んでいる。

 今回、ジザイエが調達した資金は、総額約1.5億円。コベルコ建機の他に、ベンチャーキャピタルの15th Rock、Chatwork 代表取締役CEO 山本正喜氏ら個人投資家を引受先とする第三者割り当て増資により実現した。

「JIZAIPAD」の土台には、身体と心を別々に考える“ポスト身体社会”が

 発表会では、東京大学 先端科学技術研究センター 副所長/教授の稲見昌彦氏が、ジザイエのこれまでの取り組みと成り立ちについて説明。稲見氏は、身体のDXともいえる“ポスト身体社会”の研究で知られ、ジザイエの設立にも関わっている。ジザイエは東大発ベンチャーで、社長の中川純希氏は、稲見氏が進める自在化身体プロジェクトで研究推進主任を務めた経験を持つ。

 ジザイエが開発したJIZAIPADは遠隔就労を可能にするプラットフォームとして、社会が抱える就労問題を解決できる可能性に注目が集まっている。遠隔就労の考え方の土台となるのが、稲見氏が研究する“ポスト身体社会”だ。

 身体と心が一体化している“身体社会”に対し、“ポスト身体社会”は身体と心の場所をそれぞれ独立して捉える。“ポスト身体社会”の技術が進むと、場所や時間にとらわれることがない。心と身体のやりとりが情報通信技術を介して行われることで、身体スキル(身体を使った動作)そのものを記録/再生し、データの伝達も可能になる。

「身体性」について説明する稲見昌彦氏(ジザイエ Founder 会長/東京大学 総長特任補佐 兼 先端科学技術研究センター 副所長/教授)
「身体性」について説明する稲見昌彦氏(ジザイエ Founder 会長/東京大学 総長特任補佐 兼 先端科学技術研究センター 副所長/教授) 筆者撮影

 “ポスト身体社会”の研究は、遠隔操作や遠隔ロボットなどの分野にカテゴライズされることが多い。しかし、“ポスト身体社会”の価値は、自分がいる場所と遠隔地がただつながることではない。稲見氏は、間に“情報”が存在することに価値があると話す。ジザイエは、そこに着眼点を置き、ソリューションを開発している。

ポスト身体社会における身体性
ポスト身体社会における身体性

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