「建設RXコンソーシアム」初の成果 CO2を23kg削減するコンクリ床の仕上げ機械を開発:建設RXコンソーシアム
施工ロボットやIoTアプリの開発を目指し、建設会社の枠を超えて設立した民間団体「建設RXコンソーシアム」の初の成果として、竹中工務店と鹿島建設は、バッテリー駆動で騒音を低減したコンクリート床の仕上げ機械を開発した。
竹中工務店と鹿島建設は2023年7月20日、両社が参画する「建設RXコンソーシアム」のコンクリート施工効率化分科会の活動を通じ、CO2削減と生産性向上に寄与するコンクリート床の仕上げ機械「防音カバー付き電動ハンドトロウェル」を開発したと発表した。RXコンソーシアムの分科会でスタートした技術開発として初の成果となる。
バッテリー交換可能な高出力モーターと防音カバーを搭載
建設RX(Robotics Transformation)コンソーシアムは、建設業界が抱える就労人口の減少、生産性・安全性の向上などの課題解決に向け、施工ロボットやIoTアプリなどの開発と利用に関わるロボティクストランスフォーメーション(ロボット変革)を推進すべく、2021年9月に発足した民間団体。幹事社は鹿島建設、清水建設、竹中工務店、大林組、大成建設で、正会員29社、協力会員193社が参画している(2023年7月25日現在)。
従来のハンドトロウェルは、ガソリンエンジン駆動が主流で、閉塞空間で使用する際は大掛かりな換気設備が欠かせなかった。エンジンの駆動音も大きく、騒音への配慮も不可欠。電動モーターで駆動する機種もあるが、電源の有線ケーブルが必要なことやバッテリーを使用した場合にはパワー不足による作業効率の悪化などの課題があった。
今回、開発した防音カバー付き電動ハンドトロウェルは、パワー不足を解消して作業効率を向上するために、高出力のモーターを使用したバッテリー交換が容易なパワーユニットを搭載している。駆動時間は外気温などの環境条件によって変わり、最小30分から最大1.5時間。
さらに、防音カバーも取り付け、使用時に発生する騒音を従来機の至近での犬の鳴き声の音量に相当する90dB(デシベル)から、日常会話レベルの60dB程度に低減する。そのため、市街地での夜間作業にも使用可能となり、工期短縮に寄与する。
また、ガソリンを使用しないため、排出ガスはゼロとなり、1台あたり1日の使用で、約23キロのCO2削減につながる。
今後は、両社の現場で採用を推進するとともに、RXコンソーシアム参加企業間での共有と普及を図り、コンクリート工事の諸課題を解決していく。
本機の製作は友定建機とAJ Tech JAPANで、RXコンソーシアム会員企業のアクティオを通じて2023年3月からレンタルを開始している。
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