建設施工ロボット・IoT分野で連携する「建設RXコンソーシアム」の参画ゼネコンが31社に:産業動向
建設施工ロボット・IoT分野で企業の枠を超えて技術連携する「建設RXコンソーシアム」は、大林組と高松建設が正会員に加わり、参画ゼネコンは計31社となった。
「建設RX(Robotics Transformation)コンソーシアム」は、施工関連技術のうち、ロボット・IoTアプリなどに関する研究開発を共同で行い、建設業界全体の生産性および魅力向上をより一層強力に推進することを目的に2021年9月、ゼネコン16社で発足した。幹事社は鹿島建設、清水建設、竹中工務店。
その後、コンソーシアムの設立趣意に賛同した多種多様な企業が参画し、2022年8月末日には正会員(ゼネコン)25社、協力会員87社(うちゼネコン4社)となった。このたび、正会員に大林組と高(高ははしごだか)松建設の2社、協力会員に18社が新たに加わったことで、正会員は27社、協力会員は105社にまで拡大し、参画ゼネコンは31社となった。
コンソーシアムは発足以降、ロボット・IoTアプリなどに関する研究開発をコンソーシアムの下に設置された分科会で検討している。現在は、10の分科会で共同研究を進めており、企業および業界の垣根を越えてロボット・IoTの技術を積極的に導入・展開している。なかでも、資材の自動搬送システムやタワークレーン遠隔操作、作業所廃棄物のAI分別処理は、既に会員企業間での相互利用が進み、建設業界における働き方改革の推進、人手不足の解消など業界全体の課題解決に貢献している。
【コンソーシアム内の各分科会】
1.資材の自動搬送システム分科会 2.タワークレーン遠隔操作分科会
3.作業所廃棄物のAI分別処理分科会 4.コンクリート系ロボット分科会
5.墨出しロボット分科会 6.照度測定ロボット分科会
7.生産BIM分科会 8.相互利用可能なロボット分科会
9.市販ツール活用分科会 10.風量測定ロボット分科会
また、先端技術を有するベンチャー企業との交流も深め、最新の知見を得ることを目的としたオンラインイベント、コンソーシアムに参画する多様な分野の企業が保有する最新技術を紹介する会員企業向けの展示会を開催するなど、技術連携の深化や輪を拡げる活動にも取り組んでいる。
今後も、建設RXコンソーシアムでは会員企業間の協働をさらに押し進め、その成果を積極的に展開することで、建設業界全体の生産性と魅力向上を実現。併せて、技術連携の輪をより拡げるべく、協働して技術開発や社会実装を担っていけるさまざまな分野の企業に、引き続き参加を呼び掛けていくとしている。
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