中央電力が都内集合住宅への再エネ100%供給の補助事業に登録、全国3000棟のマンションへ拡大:再エネ
中央電力は、都内集合住宅への再エネ100%供給を条件とした補助事業への登録が完了したと明らかにした。1棟あたり年間25メートルプール144杯分のCO2を削減し、2030年には全国3000棟へ拡大させる。
中央電力は、東京都が再生可能エネルギー100%供給を条件に募集する「令和4(2022)年度 補正予算事業 集合住宅における再エネ電気導入先行実装事業」(https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/12/19/14.html)の事業者として7月3日に登録が完了したと発表した。
2030年に全国3000棟のマンションへの再エネ100%電気供給
中央電力は、登録完了に伴う補助金を活用し、東京都のマンションへの再エネ100%電気供給を一層加速させる。2030年には、全国3000棟のマンションへの再エネ100%電気供給を見込んでいる。
家庭の年間CO2排出量(電気由来)は1.8トンとされており、供給する電気全量を再エネに置き換えた場合は、マンション一棟で年間約144t-CO2(トンCo2)の削減が可能になる(1t-CO2あたりの体積は25メートルプール1杯分とほぼ同じ)。そのため、全国3000棟のマンションへの再エネ100%供給を達成すると、年間で東京ドーム(体積)177個分のCO2削減に貢献する。
マンションは通常、各住戸で自由に電気会社やプランを選択できるため、マンション全体で一斉に再エネに切り替えることは困難だった。一括受電サービスは、マンションの“共用部”(給水ポンプやエレベーター、機械式駐車場、通路の電灯など)と“専有部”(各居住部で使用)の全電気を一括で受電し、中央電力のみが電気を供給している。そのため、受電する電気を再エネにすることで、約80戸/棟で使用されている電気を一斉に再エネに変えられる。この特長を有効活用し、一括受電マンションに太陽光発電システムを導入することで、共有部と専有部の電気を、発電所から直接「みなし」ではなく電気として使用するために需要者へ直接送られた「生グリーン電力」に切り替えられる。
さらに、太陽光発電システムと併せて蓄電池を導入することで、災害時にマンション内で長期停電が発生しても、太陽光発電システムで発電された電気を蓄電池に蓄積し、在宅避難する上で欠かせない、給水ポンプやエレベーターなど共用部の設備を使用でき、災害レジリエンスを高められる。
また、中央電力が保持するエネルギーデジタルプラットフォームでは、マンションごとの電力需要予測、太陽光発電システムや蓄電池と連携したエネルギーマネジメント、電気料金計算、請求、電気保安まで手掛け、各マンションへの最適化したエネルギー供給が可能になっている。
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