「2030年にはインフラメンテが崩壊、技術者数は約30%減」マイスターエンジニアリングが超重要インフラの技術者動向を調査:調査レポート(2/2 ページ)
マイスターエンジニアリングは、鉄道や電気など国内の「超重要インフラ」を支える企業や人材を取り巻く環境について独自に調査した。その結果、7年後の2030年までに、メンテナンスが重大な危機に瀕するとの課題が浮き彫りとなった。
「技術者育成の期間を考慮すると、2030年の問題は今の話」
そうしたデータを分析した結果、メンテナンスが必要な設備に対して2030年で約30%(21万人)、2045年で約50%(39万人)の技術者が不足し、超重要インフラの維持は困難に陥ることが見込まれると結論付けた。
既に2016年以降で、保安不完全=メンテナンス不足による自家用電気工作物の事故は増加しており、今後はより深刻な状況に陥る可能性が高いとしている。
調査結果を受けて、人口減少対策総合研究所 理事長 河合雅司氏は、「技術者にフォーカスを当てた調査ということでかなり貴重なデータになっている。社会そのものの基盤となるところが人手不足で崩れていく。早急に手を打っていくことを政治を含め考えていくべきだ。技術者は熟練度が必要になるため、熟練するのに数年かかることを考えると、2030年の問題は今の話ということになってしまう。時間的には待ったなし」と総評。
さらに、「技術革新の速さを考えると、将来の技術者は今の技術力以上のさまざまな技術を身につけていなくてはならないため、技術者の数は今以上に必要で、不足感も推計以上に出てくるだろう。現時点が既に深刻だという評価をすべきで、今の社会のありようそのものを見直さなくては、人手不足やインフラの技術者不足の問題は解決しない。利用者が人口減少によって減っていく問題も同時に考えていかなくてはならず、地域のインフラの利用者が減ると一人一人の負担額は増え、メンテナンスにかける予算も減らしていかなくてはならない」と指摘。
そのため、「ある程度集約して人が住んでいくような状況を作っていかなくてはならず、拡大していく中で人手不足を解消するのは不可能ということを社会全体で考えていかなくてはならない」と提言した。
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