第一生命と清水建設の1000m3の木材を使用する木造ハイブリッド構造賃貸オフィスビルが、サステナブル建築物先導事業に採択:プロジェクト
第一生命保険は、清水建設の技術協力のもとで計画している木造ハイブリッド構造の賃貸オフィスビルが、国土交通省の木造先導型「サステナブル建築物等先導事業」に、保険業界では初めて採択された。ビルの想定規模は、地上12階地下2階建てで、高さは約56メートル、延べ床面積は約1万6000平方メートルとなる見通し。
第一生命保険は2023年2月28日、清水建設の技術協力のもとで計画している木造ハイブリッド構造の賃貸オフィスビルが、国土交通省の木造先導型「令和4年度サステナブル建築物等先導事業」に採択されたと発表した。
約1000立方メートルの木材を利用し、約710トンのCO2固定化を目指す
木造先導型「令和4年度サステナブル建築物等先導事業」とは、木材を大量に使用する大規模な木造建築物などの先導的な整備事例について、その取り組み内容を広く国民に示し、木造建築物に関わる技術の進展に貢献するとともに普及啓発を図ることを目的とした事業だ。
建設計画では、大通りの交差点に面した視認性を活用し、外部からも「木」の素材感が感じられ、内部は耐火集成材や耐火木鋼梁(たいかもっこうはり)により40メートルと17メートルの木質無柱空間を実現するなど、構造や防火、生産、施工、耐久性などの面で工夫を施している。今回の事業採択では、先導的な木造建築物として波及、普及効果が期待できることが評価された。
プロジェクトでは、木を感じられる快適なオフィス空間を実現するため、清水建設が保有する木材と鉄骨、コンクリートをニーズに応じて適材適所に組み合わせる技術「シミズハイウッド」を活用し、梁や天井面を木質化。特に、鉄骨梁ロングスパンの木質化に対しては、2時間耐火性能の耐火木鋼梁としてハイウッドビームを開発し、国内で初めて実物件に適用する。さらに、立地条件を生かした開放感ある窓廻りとするため、鉄骨の細柱と耐火集成材のスリム耐火ウッド梁を組み合わせ、心地よい木質オフィス空間を提供する。
新築するオフィスビルは、日本橋や銀座をつなぐ中央通りと鍛冶橋通りが交差する視認性の高い立地に位置し、施設利用者や歩行者に対して木を感じられる空間を提供するべく、主要構造部などに約1000立方メートルの木材を利用する予定だ。木材を利用することで、建設時にかかるCO2排出量の削減に加え、約710トンのCO2固定化を図り、鉄骨造の標準建物に比べて約20%以上のCO2削減を目標としている。
また、持続可能な社会の具現化に向け、第一生命保険と清水建設は木材活用だけではなく、植林や育林活動にも取り組んでいる。
第一生命保険は2022年6月から、森林保全団体のmore treesの協力を得て、北海道足寄町で「第一生命の森」づくりをスタート。森林によるCO2吸収効果やミズナラをはじめとした地域に適した複数の樹種を植え、森林の多様性確保や生物多様性の保全につながる森の整備を試みている。
清水建設でも、群馬県川場村で、需要拡大が見込まれる木造や木質建築物に利用する木材の循環調達を推進する取り組み「シミズめぐりの森」プロジェクトを開始。木材を消費する需要家側が森林資源の再生に主体的に取り組み、循環型木材活用を進めている。自社事業で利用する木材を産出できるように、最大50年の間にわたり、植林活動と森林育成を行い、伐採適齢期に達する植林後40年目以降の樹木を建材化し、清水建設が施工する建築物に活用していく。
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