2028年にCO2排出ゼロを掲げるパナソニック新潟工場、LED製品開発のマザー拠点を視察:LED(2/2 ページ)
パナソニックの新潟工場は、CO2排出ゼロを目指すプロジェクトを発足し、2028年の実現に向けて活動している。同工場は、省エネ性能に優れた一体型LED照明を生産するが、工場の省エネにも取り組む。工場全体としての省エネを通じて蓄積したノウハウを顧客の省エネ提案にも役立てる計画という。
照明設計のノウハウが光る「タスク・アンビエント照明」
新潟工場のオフィスエリアでは、照明に関する多彩な省エネ施策を検証中だ。働き方が多様化するこれからのオフィスに求められるのは、単なる省エネではなく、働く人に配慮した照明。パナソニックでは、環境を考慮した設計を「空間省エネ」、人に寄り添う設計を「空間快適」と分類している。
照明設計で難しいのは、照明によって人がどのように感じ、集中やリラックスするのかをデータ化できない点にある。照明の効果は、数値にしにくく写真や言葉でも伝わりにくい。そこで、新潟工場では照明効果の実証に向けて、働く場に“比較×体感”ができるスペースを作った。工場内に検証の場を6エリア設け、空間省エネと空間快適を比較して体感できるようにしている。
個々のエリアでは、それぞれのテーマを設定して検証している。そのなかで重要な役割を果たすのが、タスク・アンビエント照明だ。タスク・アンビエント照明とは、業務する「作業面(タスク)」と「周辺(アンビエント)」で明るさを変える照明手法だ。手元では作業に必要な明るさを確保し、周辺では安全や快適性に必要なだけの明るさを提供することで、従来の均一照明に比べ、20〜60%の省エネにつながる。
明るさの感覚を表す独自指標の「Feu」で照明設計
タスク・アンビエント照明自体は、かなり前からあった概念だが、近年、照明がLED化されるとともに進化してきた。LED化の浸透によって、コンパクトな照明機器での照射方法、照射量、照射範囲などが自由に設定できるようになり、必要な場所に必要な明かりを与える空間設計が可能になった。
タスク・アンビエント照明は、これまでの照明と比較すると周辺部をあえて暗くする照明手法。そのため、「オフィスが暗く感じるのではないか」という不安が残るが、壁面や天井面を適度な照度に保てば、以前とそう変わらない印象が保てる。
パナソニック エレクトリックワークス社では、照度の数値だけでは分かりにくい、人が空間に対して感じる明るさを表す「Feu(フー)」という独自指標を用いて照明設計している。Feuによって、机やテーブルの天板など作業面の明るさ確保と、暗がりの不安を払拭(ふっしょく)しつつ、省エネ照明を実現している。
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