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iPad Proで配筋検査を手軽に効率化、AR技術を活用した現場支援アプリ「BAIAS」:建設技術展2022近畿(2/2 ページ)
深刻化する建設現場の人手不足への対応に向け、身近なデジタルデバイスを活用して業務効率化を目指すアプリの開発が加速している。そのうちの1つエコモットの配筋検査ARシステム「BAIAS」は、iPad Proのみで鉄筋のピッチや径の計測を完了させられる。鉄筋コンクリート構造物の配筋検査は、事前準備や計測、測定結果の入力など多くの作業を必要としているため、手軽に作業者の負担を解消できるツールとして注目を集めている。
村本建設と共同開発し、現場のニーズをくみ取ったツールに
アプリの開発では、大阪に本社を置く村本建設と共同で取り組み、実際の現場で使えるアプリとなるように心掛けた。村本建設側でも、配筋検査で必要となる鉄筋全てへのマーキングとそれに伴うスタッフの配置、帳票作成などに多大な労力を要しており、ニーズが合致したのだ。
共同開発の場面では、村本建設が施工する現場で実証試験に臨んだ。ちなみに、国土交通省の画像を用いた配筋間隔計測に関する試行要領では、鉄筋径の計測誤差は±5ミリと定められている。そのため、現場実証では各鉄筋径の誤差は+3.3ミリ〜−4.8ミリの間で推移し、基準を満たしていることが確認できた。検査の精度だけでなく、帳票の自動作成機能についても有効性を確認でき、各技術者の負担軽減への効果が実証された形となる。
今後は村本建設を含め、試験導入が可能な建設事業者を募集してさらにシステムの品質向上に役立てる。なお、正式なリリースは2023年4月を目指している。
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