スターツCAMとAutodeskが初の戦略的連携、BIM-FM PLATFORMとConstruction Cloudの連携で建設ワークフロー変革:BIM
スターツCAMと米Autodeskは初の戦略的連携に関する覚書を交わし、「BIM-FM PLATFORM」と「Autodesk Construction Cloud」を連携させることで、デジタル技術の活用によるワークスタイル改革に取り組み、業務効率化や生産性の向上を図る。
スターツCAMと米Autodeskは、スターツCAMが長年に渡り培ってきたBIM技術とBIMの共通データ環境「Autodesk Construction Cloud」を組み合わせワークスタイルの変革を推進するべく、戦略的連携に関する覚書(MOU)を締結したと2022年9月30日に発表した。
BIMを「Autodesk Construction Cloud」に格納し、共通データ環境を整備
“総合生活文化企業”として多角的に事業を行うスターツグループ内で建設・土地活用コンサルティングを手掛けているスターツCAMは、2014年より自社設計物件にBIMを取り入れて建設業務に活用している。BIMを用いたAI建築事業計画サービス「ARCHSIM」や不動産鑑定評価、「BIM-FM PLATFORM」の構築、設計と施工の両方では日本初となるISO 19650に基づくBIM BSI Kitemark認証の2022年3月取得など、BIMとデータ連携に関するさまざまな取り組みを行っている。
近年、建設業界では、現場で働く職人の高齢化、休日出勤なども含めた長時間労働、人材の流入が少なく慢性的な人手不足など、業界のワークスタイルにおける課題が挙げられるようになった。国土交通省も建設業における働き方改革を推進しており、2024年4月からは改正労働基準法の猶予期間が終わり、労働時間に上限規制が設けられることが決まっている。
両社は今回の連携により、スターツCAMがこれまで取り組んできたBIM技術とAutodeskが提供する建設DXプラットフォームのAutodesk Construction Cloudを組み合わせることで、従来よりもBIMを活用する範囲を拡張し、建設現場まで含めた建設業のワークスタイルの変革を推進していく。
多くの人の手によって行われる建設業務の効率化は、各作業者間の情報共有の迅速化が必須とされる。今回の取り組みでは、設計情報が蓄積されるBIMモデルをプラットフォームのAutodesk Construction Cloudに格納することで、業務情報の流動性を高め、BIMデータによる情報共有の効率化を進める。
スターツCAM 執行役員 野々村嘉洋氏は、「今回のAutodeskとの戦略的連携により、BIM-FM PLATFORMを基盤としたデータ連携で、デジタル技術の活用によるワークスタイル改革に取り組む。これまでスターツCAMが培ってきた土地活用や免震をはじめとする建築技術の追求とともに、従来のワークフローを見直し、さまざまなデータ連携による業務効率化や生産性向上を目指す。その先には、カーボンニュートラルに向けた社会的要請にも対応するデータ連携機能と環境整備を推進していく」と話す。
Autodesk 日本地域営業統括 建築・土木営業本部 本部長 鈴木美秀氏は、「提携をきっかけとして、顧客とともにDXにつながる新しいBIMの可能性に挑戦する。建設業の既存ワークフローの改善にとどまらず、真の改革の実現に貢献できるようにチーム一丸となって取り組んでいきたい」と述べる。
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