東京都江東区で既存のオフィスビルを「成長するスマートビル」に改修、竹中工務店:リノベ
竹中工務店と建物管理を行う竹中工務店グループのアサヒファシリティズは、東京都江東区新砂1丁目で開発を進めていたオフィスビル「竹中セントラルビル サウス」を開業した。両社は、竹中セントラルビル サウスを「成長し進化するスマートビル」と位置付け、関連する技術の開発と実践を継続的に展開し、オフィスビルストック再生のモデルケースとして提案していく。
竹中工務店と建物管理を行う竹中工務店グループのアサヒファシリティズは、近年の脱炭素に対する社会の要請や働き方の多様化に伴うテナントのニーズを踏まえて、東京都江東区新砂1丁目で開発を進めていた、グループ会社7社の拠点を集約したオフィスビル「竹中セントラルビル サウス」を2022年10月3日に開業した。
ソリューションパッケージ技術「ビルコミプラス」を活用しCO2排出量を削減
今回のプロジェクトでは、1999年に竣工した築23年の既存オフィスビルをスマートビルに改修した。改修にあたっては、竹中工務店が開発したソリューションパッケージ技術「ビルコミプラス」を軸とし、建物の脱炭素化と運用管理に関連する技術を備えた。
なお、ビルコミプラスは、クラウド型の建物OSであるビルコミに、環境の変化と技術の変革に対応する「IoTセンサーネットワーク」や拡張性と選択性がある「ファシリティメニュー」、ユーザーの利便性を追求した「アプリメニュー」を搭載したソリューションパッケージ技術で、ビル設備を更新することなくソフトのアップデートだけで、建築・設備システムの運用性能を高めていく。
具体的には、「外装の高性能化」「高効率熱源の導入・照明のLED化」「外気導入量制御」「太陽光発電の導入」「自然換気の導入」を行うことで、CO2排出量を既存建物の改修前実績値と比較して約50%削減する見込みだ。さらに、建物の運用開始後も、ビル設備データをビルコミプラスと接続することで、CO2排出量の削減を目指す。
ビルコミプラスを活用し、運用時のCO2排出量低減や建物管理業務の生産性向上を目的に、関連技術の開発・実証も行う。
関連技術については、ビル設備データやAI技術を適用した全方位カメラの画像解析情報(人の位置情報、着衣量などを認識)、環境センサーなどの運用時データを活用し、「ファシリティメニュー」として、空調の吹出口と自然換気口の自動開閉制御を導入するだけでなく、将来的には画像解析情報を活用することで、視環境と温冷感に配慮した照明・空調制御の実証も視野に入れている。
建物管理業務に関しても、AI、IoT、ロボットを活用して、設備管理、警備、清掃などといった業務の生産性向上を図るとともに、今後増加するスマートビルに応じる新しい建物管理サービスの構築と提供に活用していく。一方、建物内には、アサヒファシリティズにより次世代の集中管理センターを設け、先進的な建物管理を行う。
加えて、建物内部には、新たに設置した階段によって各階を歩行動線でつなぎ、多様なテーマの共用部を結節点に設けて、入居している各テナントを「むすぶ」ことを計画した。ちなみに、入居各社の新たな接点を生み出し一体感を醸成することで、連携・交流を促進し創造性を高めている。
竹中セントラルビル サウスの概要
竹中セントラルビル サウスは、S造地上7階建てで、改修後の延べ床面積は1万2695.47平方メートル。所在地は東京都江東区新砂1丁目3-3で、用途は事務所。改修の設計・施工は竹中工務店が担当し、改修工期は2021年9月〜2022年7月。
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